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ランニングを通した出会いで 今の自分はある
MIZUKI KATSUMATA

薬剤師として忙しい日々を過ごしながら、ランニングコミュニティ〈LOL RUN CREW〉を立ち上げた勝俣水稀さん。走り始めたきっかけは大学時代に参加した名古屋ウィメンズマラソンだった。

ゆっくり走ってもいいんだ

「フルマラソンを一生に一回は走ってみたいよね、っていう気持ちはどっかにあって。でも周りにそんな子もいないし、特に自分から何か行動を起こそうってわけでもなかった。そんな時に名古屋ウィメンズマラソンを目指すトレーニング企画に声をかけてもらって、これチャンスだなって」

参加したプログラムは、ランニング初心者が中心。通えば徐々に距離を走れるようになるトレーニングは彼女にとって新鮮だった。それまで走ったことのある最長距離は5kmだったけれど、自然に10kmを走れるようになっていた。

「きついんだろう、無理だろって思ってたんですけど、みんなでゆっくり楽しく、話をしながら走る、そういったコンテンツがあった。ゆっくり走って良いんだって、ガチガチな部活のイメージから変わっていった。ゆっくりみんなで走って、気づいたら10km走れたって。走ることはきついというのはいわゆる偏見だったのかなって、その時思いました」

レース本番は当然苦しさもあったものの、それを大きく上回る喜びや驚きがあった。

「自分の中で30kmまでは絶対止まらないでいこうって決めてました。その30km地点を越えてストレッチで止まった時に、全然知らない沿道の応援の方が(筋肉の冷却)スプレーを貸してくれたんですよ。ほんと泣きそうになっちゃって。何でこんな知らない人なのに!って。走り終わった後、確かにきつかったってのもあるんですけど、やっぱり楽しかったっていう気持ちの方がすごく強くって、それをきっかけでランニングを続けるようになりました」

ランニングを通した出会いで、今の自分はある

勝俣さんにとって、ランニングは生活の一部となった。それだけでなく2019年には仲間とランニングコミュニティを立ち上げるまでになる。ただ、医療系のメンバーも多く、時間がまちまちで一般のランニングコミュニティのように、毎日毎週この時間といったルーティンを組むのが難しかったそう。

「だったらその時来ることができる子たちが主体になって、時間や場所を決める。今回はここで走ろうねって。ただ走るだけではなくて、ランプラスαでいろいろ企画したりしてきました」

そうした企画が立ち上がっていく中で、スキンケアブランド〈ロクシタン〉が取り組んでいる視覚障がい者支援プロジェクトとのコラボレーションなど、社会課題に取り組むプログラムも実現できた。

「街の歩道にある視覚障がい者用の点字ブロックをみながら、追いかけながら走るっていう企画をさせていただいて。東京に点字ブロックがこんなにあって、でもこういうところ剥がれちゃってるよねとか、そうした問題にも気づけたり。そのあとは〈ロクシタン〉の製品に必ずある点字を実際にみんなで読んでみたり。いろんな気づきになりました」

コロナの影響もあり、コミュニティとしての活動には自ずと限界もある。その中でも、工夫しながら仲間との繋がりやモチベーション維持を試みている。

「朝、zoom上で集まって、各々走って、またオンラインで集まるなんてこともしてみました。一緒にコミュニティを始めたリサという子が今はシンガポールにいるんですけど、彼女とインスタライブでつなぎながら走って、つなぎっぱなして、今どこ走ってんの?って。それをメンバーもみながら一緒に走ったり。
 
 あなたにとってランニングとは?という質問を受けたことがあって、〈コミュニケーション〉っていうのがパッと出てきた。スポーツとしてのランニングもすごく好きなんですけど、私としてはそういうコミュニケーションとしてランニングを使ってるなって。ランニングを通しての出会いで今の自分があるなって思います」

勝俣水稀 身長165cm
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MORNING RUN WITH #002 YUSUKE OGURA

自分はマラソンで戦える位置にいる

HERENESSが立ち上がってすぐのこと、インスタグラムのアカウントに意外な人物からフォローが入った。ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介選手。海外のインディペンデントなスポーツウェアを自ら取り寄せて愛用するなど、実力とセンスを両立している小椋選手からのフォローにHERENESSスタッフは大いに沸いた。そして、小椋選手の情報収集力と発信力に驚かされた。ぜひ小椋選手のSNSアカウント(twitter:@conboy0416 instagram:@yusuke_ogura1993)を覗いて欲しい。彼のあたたかな人柄と誠実な姿勢に魅了されるはずだ。

その小椋選手が凌ぎを削る日本長距離界はいま収穫の時を迎えている。設楽悠太選手が2018年の東京マラソンで15年振りに日本記録を更新すると、8ヶ月後には大迫傑選手が新たな記録を打ち立てる。そして先日行われた歴史ある〈びわ湖毎日マラソン〉(残念ながら今回が最後の開催となった)では鈴木健吾選手がまさかの2時間4分56秒で新たな日本記録保持者となった。

その〈びわ湖毎日マラソン〉を2時間6分51秒という好タイムで駆け抜け、日本歴代マラソン十傑に数えられることになった小椋選手は、「優勝は狙っていました。まさか2時間6分台を出して優勝を勝ち取れないなんて思っていませんでしたよ」と、長距離界の高速化に舌を巻く。

ランニングの世界では〈ロジャー・バニスター効果〉という言葉がよく知られている。1954年、1マイル(約1.6km)レースにおいて人類が越えることのできない壁と考えられていた4分という記録をロジャー・バニスター選手が破ると、その後1年の間に23人もの選手が4分の壁を超えた。かように心理的な壁は高いということ。日本の長距離界も、心理的な壁が取り払われ、誰が新たな記録を打ち立ててもおかしくない、とてもエキサイティングな時代にある。

その可能性の塊のような選手の一群の中に、小椋選手は確実に位置している。2020年の〈香川丸亀国際ハーフマラソン〉で打ち立てたハーフマラソン日本記録1時間ジャスト(なんと覚えやすい記録だろう!)は、フルマラソンの記録を目指す途中経過として生まれた副産物だという。

「マラソントレーニングの一環として走ったのが丸亀だったんです。マラソン後半の疲労をイメージするために、前々日にロング走をこなしていたくらい。重い脚でどこまでやれるかと思っていたところ、結果がでました」

これだけの金字塔を打ち立てていながら、小椋選手はあくまでも冷静だ。

「相澤選手や大迫選手のような有力選手がハーフの記録だけを狙っていったら59分30秒まではいけると思います。もちろん自分も60分が限界だとは思っていなくて、誰か一人が59分台を出したらドドッと到達する選手が増えるんじゃないかと思ってます」

現状を冷静に分析できているのは小椋選手の持ち味であると同時に、目標を高く置いているから。

「正直、東京オリンピック選考のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、まだ力がなく出られなかったですし、ファイナルチャレンジは大迫選手に持っていかれてしまった。ただ自分がマラソンで戦える位置にいるというのは強く感じているので、パリ五輪は絶対に出場したいですね。その前の世界陸上の権利も取りたいです」

ランニングは表現する舞台であると同時に人と繋がる共通言語

そんな小椋選手は彩湖にあるヤクルトのトラックで毎朝、厳しい練習に臨んでいる。朝走ることの効能について彼はこう捉えている。

「できれば朝は寝ていたいんですけど、朝走ることには意味があって。朝はエネルギーや水分が枯渇しているんです。その状態で体を動かすことで、効率よく追い込むことができる。自分の体に必要なダメージを与えるのに効率がいいんです。気持ちとして楽に勝てるなら本当にそっちのほうがいいと思ってるんですよ。ただ、それができないからキツイことをやる。やらないと勝てないからキツイことをやっている。そういう気持ちで取り組んでます」

この言葉だけを取り出すとどこまでもストイックなのだと感じさせる。トップアスリートとして当然ではあるが、それだけではない。ランニングという行為をもっと大らかに捉えているところが、競技者を超えて小椋裕介を魅力的にしてる要因だ。

「走ることは仕事ですし、自分自身を表現する舞台です。それと同時に、走るということだけでいろんな人と繋がれるし共通言語になれる。ランニングってそんなところがいいなって思ってます」

小椋裕介 身長174cm
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走ることは生きること 歯磨きと変わらない
NOBUHIDE TAKASHIMA

中学校から大学まで、一貫して陸上部に所属してきた高嶋宣秀さん。いまもランニング大会やランニングメディアを運営する会社で働いていて、走ることはずっと生活の一部としてある。そんな高嶋さんが走ることから離れた時期があった。

ひとりで走っていたら気づけなかったこと

「中学の時は市の上位には入るけど、県で戦えるというレベルには至らなくて、高校に入って陸上を続けるつもりはなかったんです。でもカナダに夏季留学したときに、すっごく気候が良くて、仲間と話しながら走ったり、イベントみたいな感じで短距離で競争したりするのが楽しかった。そしたら、そんなに走れるなら陸上続けた方がいいよって勧められて」

仲間の後押しもあって、再び競技の道に戻った高嶋さんはスパルタコーチとの出会いもあり、中距離で頭角を顕していく。そして高校2年生の頃には全国大会の800mで6位入賞するまで能力を引き出された。それだけの努力をしてきたから、競技をやめてからは、楽しみのために走るということにギャップを感じた。

「みんなで和気あいあい楽しくただ走る、って陸上競技と全然違うので、最初は受け入れ難かったですね。でも陸上競技と市民ランニングは全然違うって思えてからは、純粋に楽しめるようになりました。それは市民ランナーの指導などを通して、他の人たちが楽しんでる姿を間近に見れたからだとは思うんですよね。ひとりでランニングをしてたら、そういうのに気づけなかったのかなと思います」

走ることは〈生きること〉

撮影の時には環境に配慮した〈allbirds〉のシューズを履いてきてくれた高嶋さん、最近はサステナブルなプロダクトへの関心も高まっている。

「マラソン大会の運営でも参加賞のTシャツを回収して、それを使って翌年の参加賞を作るなんて取り組みも行っています。ただ環境へのアクションはコストがかかってくる部分もあるので、そこを解消することの難しさは感じますね。ゴミを分別するとか、やれることから取り組んでいくのがいいのかな」

今はランニングが仕事にもなった一方、お子さんがうまれて生活スタイルががらりと変わった。それでも走る時間を確保している。

「家の近くの公園に子どもを連れて行って、奥さんと変わりばんこに走ったりと工夫してます。走ることは〈生きること〉くらいの考え。歯磨きと一緒で、やらないと気持ちが悪いんです」

高嶋宣秀 身長180cm
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他人と比べずに自分を見つめる NATSUKI KISO

学生時代は吹奏楽部に所属し、運動とは無縁の生活を続けていた木曽さんは、社会人になってから体を動かすことの虜になり、今ではヨガインストラクター資格の取得を目指している。

トレーニングを継続できたのは、コミュニティーのおかげ

「学生時代は6年間吹奏楽部で、運動とは無縁の生活でした。社会人になりストレスで太ってしまったので、ダイエットのためにとりあえず走ってみたものの、一人で走るのは辛くて続かなくて。そこでグループトレーニングを行うジムに行ってみたら、どハマりしてしまいました。週5回、1日に2回行くことも。1時間のトレーニングを終えるとたくさん汗をかいて、めちゃくちゃ達成感があって。この感覚を毎日味わうことができたら最高だと思ったんです」

トレーニングを継続できたのは、コミュニティーの存在が大きかったという。仲間と一緒なら一度断念したランニングも楽しむことができた。

「ジムに通い詰めているうちに、友達もたくさんできました。いつの間にかダイエット目的だったことは忘れて、友達に会いに行くのが楽しみになって。グループで取り組むランニングも、話ができるペースで走るのは楽しくて、一人の時とは全く違って辛さを感じることはありませんでしたね。おかげでランニングも好きになり、スピード練習までするようになりました」

コロナ禍で、数々のマラソン大会が中止となり、多くのランナーが目標を失っている。木曽さんもその煽りを受け、走ることへのモチベーションを見失ってしまったという。

「コロナの影響を受けて、出場予定だったマラソン大会が中止になったり、会社のランニング部の活動もなくなりました。仲間と一緒に走ることもできなくなり、走ることへのモチベーションが落ちてしまいました。走ることにおいて、コミュニティーの大切さを改めて実感しました」

ヨガでは人と比べないことが大切

一方で、家の中でもできるヨガをする時間が増えた。ヨガとの出合いは、体を動かすことへの向き合い方を見直すきっかけとなった。現在では、ヨガの先生になる勉強をしている。

「ヨガでは人と比べないことが大切で、ヨガマットの上では自分だけの世界に集中します。振り返ってみると、マラソンをしている時は、どこかにあの人よりも速く走りたいという気持ちがあって、無意識に競争していました。SNSでも知らず知らずのうちに他人を気にしてしまったり。比べることや周りの目を気にすることに疲れてしまっていたんだなと気付きました」

仲間と共にスポーツをすることで、体を動かすことの楽しさを見出した木曽さん。ヨガでは、他人と比べずに自分を見つめることを知った。仲間と体を動かすことの楽しさを共有しつつも、自分自信を見失わない、ちょうど良いバランスを手に入れたようだ

木曽夏希 身長152cm
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体の中が空っぽになる感覚が気持ちいい CHIHIRO YOSHIKAWA

普段着の吉川千翔さんに会うと、バリバリのスポーツウーマンとは見えなくて、落ち着いた文化系なんだろうなと感じさせる。実際に学生時代は、軽音部や英語部に所属するなど音楽や文学、映画などに親しんできた。その彼女が、ランニングを始めるきっかけとなったのは大きな生活環境の変化によってだった。

走ることで得たポジティブな変化

「一昨年の11月に結婚して環境や生活習慣ガラッと変わったんです。それもあって体調の浮き沈みがすごく激しくて。30歳近くなって体型も結構変わってきて、体力づくりとダイエットもかねて始めました」

もともと散歩は好きな方だった。半日歩き続けるのも苦ではなかったし、自然に走ることを始められた。

「ど素人だったので、どのくらいのペースが体力づくりにいいとか、どのくらいじゃなきゃ効果が出ないとかが全く分からなかったんです。最初はランニングマシーンで結構速いペースで20分くらい走って、5分ぐらい歩いてを繰り返して。最近はかなりゆっくり走るようにして自分のペースをつかめました。GPSアプリを入れて、これくらいだと身体が軽く感じて楽に走れるみたいなのがわかってきたんです。自分に甘いんで、結構ゆるゆる走ってます(笑)」

1年と少し続けてみると、変化が見えてきた。体が軽くなり、日常生活にしてもちょっとした動作が楽になって疲れにくくなったそう。

「今は週に1度、週末だけ5kmを目安に走ってます。固定のルートはあるんですけど、そこからちょっとはみ出てみたり知らない道を走ってみたりして、面白さを見つけるようにしています」

吉川さんのランニングスタイルは、あくまで自然体。無理して追い込むことをしないから、長く続けていける。大事にしているのは「気持ちいい」という感覚だ。

「走り終わった後に、身体の中が空っぽになってる感覚がすごい気持ちいいです、はい。あと景色がいい日はすごい気持ちいいですね」

吉川千翔 身長156cm
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MORNING RUN WITH #001 TASUKU ARAI

ランニングと出会い直した

荒井さんの朝は早い。6時頃には起き出して、自宅近くの井の頭公園周辺を走る。武蔵野の面影を残すこのエリアは、緑も多くモーニングランにはうってつけの場所だ。土ではあるがトラックもあり、1500mが主戦場だった荒井さんがスピード練習をする機会もあるそう。

「朝は体が動かないんでジョグが中心ですけど、トラックを走ることもあります。昼間は子どもたちの指導で意外と自分も体を動かしているんで、今はそんなに強度の高い練習はしていないんですよ(笑)。競技生活をしている時は、勝つこと、速く走ることが全てでした。現役を退いて、仲間と走ったりして、走ることの楽しさに気づけた気がします。もう一度ランニングと出会い直したような感じですね」

青山学院大学3年時には33年ぶりの出場を果たした箱根駅伝出場で1区を担い、主将を務めた4年時には41年ぶりにシード権獲得(8位)に貢献した。卒業後はJR東日本ランニングチームへ。現役を引退した後もJR東日本の社員として仕事を続けてきたが、実業団時代の同期である五ヶ谷宏司さんと子ども向けランニングスクール〈BEAT AC TOKYO〉を立ち上げ、最近は忙しい日々が続いている。

「JR東日本時代の最後の仕事は、意外かもしれませんがパソコン教室の事業だったんです。そこで子どもたちと触れ合うことにやりがいを感じているタイミングで五ヶ谷から声がかかって。神経系が著しく発達し始めるプレ・ゴールデンエイジ、ゴールデンエイジと呼ばれる世代の子どもたちに働きかけることで、陸上界にも貢献できればと考えています」

荒井輔 身長176cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT LONG SLEEVE (UNISEX) (WOOL BEIGE) Lサイズ ¥11,000
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めまぐるしい時こそ、走る YUKINA TANIMOTO

とても朗らかでしなやかな話ぶりだけれど、時々芯の強さを感じさせる一面がふと顔を覗かせる。800m走という心身ともに厳しい競技で、中学時代には全国優勝を経験、大学時代にも全国3位という成績を残した谷本有紀菜さんだからこそ、見えている世界がある。一方で、現役を退いてからはランニングコミュニティの指導などを通して、“競わないランニング”の喜びも見出した。谷本さんのランニングとの向き合い方には、ランニングを楽しむヒントが溢れている。

自分の頭で考えて結果が出た

谷本さんが入学した小学校は生徒数が少なく、例年行事のマラソン大会も一学年全体、男女混合で行われていた。

「ひとりすごく速い男の子がいて、ナガタくんっていうんですけど、彼がずっとライバルで。6年間のうちになるべく多くナガタくんよりも勝つっていうのを目標に頑張っていました(笑)」

男子と競うほど脚が速いことに気づいた谷本さんは、中学校に上がると自然な成り行きで陸上部に入部する。

「中二の時に全国大会で優勝しちゃって、陸上競技を専門的に高校から始めることにして、山口県の西京高校っていう県内で一番強いところに入ったんです。けど、怪我したりであんまり3年間うまく競技ができなくて。全国大会には出たんですけど、優勝できなかったりで結構悔しい思いをしました。大学どうしようって思った時に、辞める道もあったんですけど、負けず嫌いなんでしょうね、このままじゃ終われないって」

名門の筑波大学に入学すると、ひとつ上の学年に“800mの女王”と呼ばれた真下まなみ選手がいた。レベルの高い先輩の存在と、学生が自分たちで考えてトレーニングを組み立てるというスタイルが噛み合って全国大会3位という結果を残すことができた。

「大学に入ってから自分たちでメニューを考えて組み立てるスタイルになった。だから余計に、いままでなかった知識も吸収してやることができました。高校までの自分のやり方とはまったく違うやり方だったので、それもあって伸びたのかなって思いますね。800mっていま思うとむっちゃキツいですよ(笑)。短距離の練習もするし、長距離の練習もしなきゃいけない。でも、それが面白かったのかもしれないですね。練習のプランニングをするのも楽しかった。自分は長距離が強いんだっけ、短距離は弱いんだっけ、短距離が弱いから練習もしてみようかなとか。分析するのは楽しかったですね」

ランニングコミュニティに触れて、走る喜びを見つけた

第一線で活躍した選手の場合は、現役を退いた後に“楽しみのためにスポーツをする”という切り替えをするのが難しい場合が多い。谷本さんも最初はそのリズムを掴むのに苦労した。

「やっぱりストイックなのかなぁ、なんか変に追い込むところあるんですよ。陸上引退してすぐは競技の時の感覚が残ってるからタイムは刻むし、距離も何キロ、何分以上走ってと密にやってたんですけど続かなくて。目標がないのにそれをやってもしんどいだけだなって。それが嫌で時間測るのをやめたんですね。時間も距離も測らない。ストップウォッチも持たないし、自分が走りたい時にばーって走って疲れたらやめる、みたいなやり方を続けて、ランニングをずっと好きでいられるようになりました」

もうひとつ谷本さんにとって、ランニングとの関わり方が大きく変わる出来事があった。

「ランニングコミュニティで市民ランナーの人と関わる機会が増えて、そこからはラニングが苦じゃなくなったかな。走る=競うみたいなイメージがあったんですけど、コミュニティでしゃべりながら走るとか、コミュニティを広げながら走るとか、こういう走り方あるんだって気づいて。誰かと走ったりする時はやっぱりリラックスしながら走れるし。走った後もすごい、なんだろう、頭の中が整理されるところがあります。そうですね、コミュニティの存在は大きかったですね」

マインドが揺れている時、時計を持たず走る

最後に改めてランニングの魅力について尋ねてみた。

「コロナのこととか、自分の環境が変わったりとかで、めまぐるしいときこそ走るようにしています。そうすると整理できる。これ、別に絶対やらなきゃいけないことじゃないよねとか、今日はこれをやりたいから、そのためにこれをやろうとか。そういう頭の整理が自分の中ではつく。だからマインドが揺れている時とか不安定な時ほど時間を作って、時計を持たず走るっていうのが、自分の中ではすごく大事なことになっているかな。よし走るぞっていって走るより、なんか疲れてるな、気持ち上がんないなって時に走るのが私は好きです」

谷本有紀菜 身長165cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (WOOL BEIGE) Sサイズ ¥11,000
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混沌とした世界でも ランニングが「今」へと導いてくれる

コロナウイルスが世界に蔓延し、人々の生活が少しずつ、かつ劇的に変わりつつある。不安定な状態の中で、本当に大切なものを再度考える機会になった人もいるはずだ。家の中で過ごす時間が増えるにつれ、「身体を動かすこと」の喜びを再認識した人も多いかもしれない。混沌とした世界の中で身体を動かすこと、また走ることは、どんな意味を持つのだろう?今回ニューヨークはブルックリンで暮らす二人のランナー、ブライアンとローラにコロナ禍で変わったこと、そして走ることが彼らにとってどんな意味を持つのかについて話を聞いた。

ランニングを通じた、アナログな出会いと喜び

インテリア関係の仕事をしている二人は、2016年にニューヨーク・シティ・マラソンを観戦したことがきっかけで走るようになったという。

「そこにはある種の特別な空気、エネルギーが渦巻いていた。若い人からお年寄りまで、さらには車いすの人、目の見えない人、いろんな人たちが目の前を通り抜けていった。その溢れんばかりのパワーにものすごくインスピレーションを受けたの。それで ”よし、やってみよう”って。でも当時の私は全然走ったことがなくて、”ランナー”と自分を認識していなかった」とローラはその時の印象を語ってくれた。

ニューヨーク・シティ・マラソンは毎年約5万人が参加する大型マラソン大会。参加料を払えば誰でも出場できるレースとは異なり、抽選で参加者を選ぶ方法を採用している。参加資格を得るためにどうすべきかを考えていたところ、アフリカへ寄付活動を行っている非営利団体に出合った。そこで「寄付金3,000ドルを集めて出場権を得る」という方法を知り、寄付金を募って出場権を得た。ブライアンはこの団体との出合いがランニングの楽しさを知ることに繋がったという。

「はじめのうちはペースとかマラソンのフィニッシュタイムとか、何も知らないところからのスタートだった。だから僕らの目標は『とにかくゴールすること』だったんだよ。でもレースまで寄付団体の人たちと一緒にトレーニングをしたんだけれど、これがすごくいい練習になった。仲間と走るグループランもたくさんやったし、チームの一員になれたことや仲間ができたことが大きかった。普段はメールやスマホばかりでコミュニケーションをとっているだけに、ランニングの魅力はこの純粋でアナログな人とのつながりができることにある、と思ったんだ」

ランニングは自分だけの神聖な場所

以来二人はランニングが生活の一部となり、現在は週に4日ほど、45分から1時間ほどランニングをする。週末は距離を伸ばして走ることもあるという。

「走る時間は早朝と決めてる。静かで人もほとんどいないその時間が、自分だけの神聖な場所になるんだ。特にコロナ禍で全てがデジタルに取って代わって、パソコンの前にいる時間も長くなったし、ランニングはそこから逃れられる瞬間でもある。ニューヨークは「今ここ」よりも、「次に来るものは?」っていう発想があって、でもそこでランニングが「今の瞬間」に自分を取り戻してくれる。走ることは「今」に集中して、生きることを体感できる瞬間。外に出て身体を動かすこと、自然と触れ合うことに今まで以上に喜びを感じるし、それはある種の瞑想のようなもの。そういう意味で走ることは、生活の中にある儀式のようなものかもね。それって僕がかつて競技していたロードバイクとかでも体感できるかもしれないけど、ランニングは足が地球の上を弾み、リズムが生まれる。そこにはオーガニックな感覚があり、生命が宿り、感覚が研ぎ澄まされていく感じがあるんだ」とブライアン。

一方のローラは「ランニングは目的が一つじゃないところに魅力がある。ある季節においてランニングは、自分に挑戦するものになる。変化のない日々の中で、もっと遠くへ、もっと速くっていうように自分を動かしていく精神的な原動力をくれる。またある時には心と身体を整えるのに役立ったりもする。一人で気ままに走っている時間は、ありのままの自分でいられて、誰からも邪魔されず、誰にもメールを返さなくていい(笑)。それは私だけの特別な世界。ランニングにはそういう純粋な喜びがあるように思う。人によっては他のランナーと繋がるために走る人もいるし、ある人は人の群れから遠ざかるために走る人がいるみたいな、ランニングの目的は自分が望むものになり得るってところに惹かれている」とふたりともランニングの精神的な側面に魅力を感じているようだ。

寒暖の差が激しいニューヨークに適したものを選ぶ

二人は走る際のウエア選びにもこだわりがある。ニューヨークの夏は暑く、冬は零度を下回ったりと極端な温度差があるので、様々な気候や温度に対応できるものを選ぶようにしているという。

「どんなにデザインがかっこ良くても、機能が伴わなければ意味がない。そういう点では〈HERENESS〉のメリノウールのTシャツはニューヨークの極端な気候に適してる。肌触りもいいし、すごく気に入ってるよ。今まで数多くのブランドのスポーツウエアを試してきたけど、「これだ!」っていうのに出合会うのって意外と難しい。〈HERENESS〉のランニングキャップも通気性抜群で、蒸れないから重宝しているよ」と話してくれたブライアンは、オンラインインタビューの時もお気に入りのFOCUS CAPを被ってくれていた。

ローラは製品のサステナビリティも気にしている。「私のお気に入りは〈HERENESS〉のウールでできたロングスリーブ。生地がすごく薄いから、初めて手に取ったとき保温力が不安だったけど、実際外で試してみたら完璧だった!私もランニングウエアを選ぶ時、はじめはデザインで手にとるけど、やっぱり機能とサステイナビリティのどちらの要素もバランスよく備わっていることが大事かな。だから〈HERENESS〉のショートパンツは機能的に優れてて、自分の用途に合ってるなぁって。私は特にポケットのサイズにすごくこだわりがあるんだけど、〈HERENESS〉のショーツはスマホがちゃんと収納できて、ポッドキャストも聴きながら走ることができるから気に入ってる」

対話を増やしていくことが持続可能な未来につながる

〈HERENESS〉のウエアは、ウールのような天然素材を使用したり、化学繊維を使用する際はサトウキビのような植物由来のものや、リサイクル・ポリエステルを積極的に利用。また、包装パッケージにはリサイクルしやすい紙のみを使用するなど、環境への負荷を軽減させる取り組みに力を入れている。さらに動物福祉の観点から、ミュールジング(羊の陰部付近の皮膚を、湿気や虫がわくことを防ぐために切り落とすこと)を行っていない羊のウールを使用するなど、持続可能な形を模索しながら製品の開発を進めている。

「ショーツにサトウキビの由来の素材が使われてるなんて想像したこともなかった。ここ数年テクノロジーが発達して、ランニングウォッチでもスポーツウエアでも化学繊維が多く使われていたり、なんかこう自然界のものとはかけ離れてきちゃったっていうか。だからサトウキビもそうだし、地球の大地から育まれた天然のものを身に纏うって、すごく新鮮でいいなぁと思う。(ローラ)」

「対話を増やしていくことが大事で、それがサステイナブルな未来につながると思う。環境への負荷やサステイナブルについて話すのは、もう絶対条件で、年々大事になってきている。例えば、新しいジャケットを買おうとするとき、新しいのいるかな?ってローラと話したんだ。古着でいいんじゃない?って。新しい洋服は同じものがまた生産されていく、って想像したんだ。そのように物を買うときに意識的に考えるようになってきたよ。だから環境問題について誰かと会話したり、考えたりすることは、深い意味があると思う。僕らは地球の上を走っている。走ることって人間の本能のようなものでもあるし、サステイナビリティは僕らが走る大地、地球に直結することだから(ブライアン)」

混沌の中で走り続ける

ブライアンは昨年のフィラデルフィアマラソンで悪天候にもかかわらず、3時間3分の自己ベストを記録。またローラも昨年、ニューヨーク州のMonhok保護区で開催された、トレイルランニングレースにて、初となる50マイルを9時間で完走した。しかしコロナウイルスの蔓延で、その後のランニングレースは軒並み中止、または延期になった。それでも二人は希望を絶やさず、目標を持って練習に励んでいるという。

「コロナは精神的にもちろん辛い時もある。パンデミックが始まった初めの頃は情報が乏しくて、どうやって他の人に感染するかわからなかったから、数ヶ月走らない時期もあった。でも今はだいぶ状況が変わってきたし、ランナーも今まで以上に増えてるよ。レースは中止になったりしてるけど、今でも来年のレースにエントリーしてるんだ。いつか自分の故郷でフルマラソンを完走したいなぁと考えていて、地元で開催されるレース、Milwaukee マラソンにもエントリーしたよ。もちろん開催できるかはわからない。でもそれはあまり重要じゃないんだ。楽しみなことを自分で作って、それに向かって前に進んでいくことが大事だと思ってる。だからこれからも走り続けるよ(ブライアン)」

ウール 自然からの贈り物

ウールの歴史はとても古く、初めて毛織物が作られたのは紀元前2,200年頃といわれています。また牧羊の始まりまで遡ると紀元前6,000年頃とも。

私たちのシグネチャーマテリアルであるメリノウールの原種は1300年代に誕生し、中央アジアからギリシャを経てスペインに持ち込まれたとされています。羊には20にも及ぶ品種がありますが、メリノ種の羊はその毛の柔らかさから貴重なものとされていました。しかし、ただ柔らかい素材というだけで今日に至るまで長く愛されるものでしょうか?ここではその優れた特徴をお話したいと思います。

クリンプが産む断熱効果(冬暖かく、夏は涼しい素材)

メリノウールを語る上で吸湿性、保温性の高さははずせません。メリノ羊から作られたメリノウールのウェアは熱伝導率が低く、衣類内の温度や湿度を安定させ、快適な着心地をキープします。クリンプ(細かい縮れ)が空気を含み、外気と肌との間で断熱効果を発揮するため、冬は暖かく、夏は涼しい。ウールというと「冬の素材」という先入観があるかもしれませんが、繊維が細く、薄く、軽量なメリノウールは蒸れを防ぎ、通気性を保ってくれるという側面もあるのです。

メリノウールの繊維表面は人間の毛髪でいうところのキューティクルのように、「スケール」と呼ばれる鱗に覆われています。このスケールの隙間から素早く汗や湿気を吸着、吸った水分を水蒸気として放出すると同時に、体から気化熱を奪い取り、高まった体温を適温に下げる役割を果たします。繊維自体が微かに波打っていることから、糸そのものの中にたくさんの空気を含む能力があり、身体から放出される熱を繊維内に取り込んで保温するというわけです。例えばランニングをして大量に汗をかいた後も、急激な体温低下を防ぎ、ドライな着心地を保ってくれる、というように。

においにくい、それはサステイナビリティに繋がります

身に着けるうえで非常に大切な要素、においにくいのもメリノウールの特徴です。水分をよく吸ってくれる素材でありながら、なぜかにおいを発しない。繊維内ににおいを閉じ込めるのか、科学的な解明はまだされていませんが、消臭効果が施されたナイロン、ポリエステルなどの繊維と比べてもメリノウールの消臭、脱臭能力は圧倒的に優れています。

例えば普段着として数日間着続けてみると、においが気にならないことに驚くことでしょう。洗濯回数を抑えることができるので、旅先でのワードローブとして役に立ちますし、サステイナビリティにもつながります。

スポーツウェアとしてみた場合、においはストレスになる要素です。メリノウールは私たちのコンセプトの「着心地」の面からも、問題をクリアにしてくれる素材です。

自然の魅力を伝え、豊かな感情を抱かせてくれる素材

良いところばかり話しましたが、メリノウールにも注意するべき点はあります。動物性繊維のため虫に食われやすく、収納する際は防虫剤を使うことが推奨されます。また、縮みやすい性質があるため、洗濯にもある程度の注意が必要です。水をよく吸うため運動中に重さを感じることもあります。それでも私たちはウールをファーストチョイスにしています。その柔らかな肌触りから、自然の魅力を伝え、豊かな感情を抱かせてくれる、体と心のバランスを良い状態に保ってくれる素材としてこれ以上のものはないからです。

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