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自然(じねん)を求めて MIKA SAITO

〈NATURE〉という英語が日本に入ってきて、〈自然(しぜん)〉という訳語が与えられたのは明治の頃。その結果、〈自然〉という言葉には〈人間〉と対置される客観物と捉えられるような語感が生まれた。例えば〈自然保護〉という言葉には人間が周辺環境である自然を守るという意識が反映されている。

しかし、本来仏教用語であった〈自然〉は〈じねん〉と読んで「自ずから然(しか)らしむ」というもっと広い意味を内包していた。人間自身も含めて「あるがまま」にある状態である〈自然(じねん)〉という考え方を教えてくれたのが、今回HERENESS YOGAコレクションのモデルを務めてくれたMIKAさん。旅や登山、そしてヨガを通して〈あるがまま〉=〈自然(じねん)〉を実践してきた彼女は、いま会社勤めを辞めて山梨県北杜市への移住を選択した。

  • Photograph(TOP)HAO MODA
  • TextHERENESS

北杜市への移住

「もともと夫婦でずっと山登りを続けていて、八ヶ岳やアルプスに都内から時間をかけて通っていました。自分たちのアクティビティの中に山はずっとあるだろうなというのがあって、だったら山に近いところに住みたいねという話はしていたんです。

一方で、できるだけ自給をしていきたい、家族で食べる分だけでも自分たちで、と思っていました。大学院が農学研究科だったので、農業に興味があって。それを実践するには都内ではないなというのがありました。北杜市には実際にそういう暮らし、パーマカルチャーというんですけど、その暮らしを実践するパーマカルチャーデザイナーの方もいるということで決めました。自分でもこの8月に神奈川県藤野にあるパーマカルチャー・センター・ジャパンというところに通って、パーマカルチャーデザイナーの資格を取る予定です」

パーマカルチャーは1970年代にオーストラリアで生まれた考え方。パーマネントとアグリカルチャーを合わせた造語で、永続的な農業及び暮らしを営むことを目的に具体的な実践とデザインが提案されている。日本でも神奈川県の藤野(相模原市緑区)のパーマカルチャー・センター・ジャパンや北海道余市町のパーマカルチャー北海道などでワークショップなどの啓蒙活動が行われているので、関心があればこのパーマカルチャーを学ぶことができる。

MIKAさんがこうした活動に関心を持った背景には、大学院の農学研究科で食や栄養学を学んだということがあるそうだ。大学院卒業後は、飲料メーカーで、ビールづくりに関わる研究職として勤務していた。

「朝8時からビールを飲んだりしていましたよ(笑)。そうした研究の仕事をしていたんですが、もっと自分で暮らしを作るということにシフトしたいと思い、仕事をやめて移住しようとなりました。

コロナでもスーパーで行列ができたりということがあったじゃないですか。それがなくなると生きていけない〈消費者〉みたいになっちゃうことが本当にいいのかな、という疑問があって。自分でできることは自分で作っていく生活がしたいなと」

旅で出合ったヨガ

自然な暮らしを求めるMIKAさんのルーツのひとつが旅。そしてその旅でヨガと出合った。

「大学院合格を機に1年間休学をして世界を一周しようとひとりで旅をしました。無計画だったので片道の航空券だけを買って。でも、なぜかインドにだけは興味があって、事前にビザを取って旅に出ました。北インドを中心に3ヶ月くらいまわっていたときに、リシュケシュという場所にたどり着きました。ここはヨガの聖地らしいというのを聞いたので、ちょっとやってみようかなくらいの意識で1ヶ月くらいの間、毎日4時間マンツーマンのレッスンを受けたんです。その時本当に心と体が整うという経験をしました」

インドでヨガと出合ったMIKAさんは、帰国後もヨガを続けた。しかし、ブランクの期間もあったという。けれど社会人になって忙しい毎日の中で、またふとヨガのことを思い出す。

「そういえばヨガってあったなって思い出して再開して。ヨガをするうちに何度も救われました。心が動いているときに〈今に戻す〉練習をすると、あ、ヨガっていいなって。そこでもう一度しっかり学ぼうって思ったんですね」

そんなきっかけでヨガ講師の資格を取得したMIKAさんは、コロナ下でも参加しやすい屋外で行うパークヨガを主催するなど精力的に活動を続けた。そんな彼女にヨガの魅力について尋ねてみた。

「〈今の幸せに気づく〉というのがヨガができることだと思っています。みんな外に幸せを求めるってことが多いと思うんですけど、〈今ここ〉に自分の意識を戻した時に、本当に目の前に溢れてる幸せに気づくことができるようになる。いつでも誰でも穏やかな状態に保てる。

私にとってヨガはよりよく生きるためのツールなんですが、そういうツールって何個持っててもいいじゃないですか。私にとってそれはヨガだし、山登りだったり、本を読むことだったり、そういうツールがより良くするためのひとつとしてみんながうまく使いこなせたら心地よく生きていけるんじゃないかって思います」

人も自然の一部

登山を通じて豊かな自然に触れ、そしてヨガを通じて心の平静を得たMIKAさんが感じ取ったのは、人も自然の一部であるということ。それが、日本に昔からある〈自然(じねん)〉という考え方の再発見につながった。

「いま、人が自然を守ろうとか、人が自然を破壊するとか、そういう表現が多いと思うんですけど、本来は人も自然の一部ですよね。昔の日本では〈自然〉と書いて〈じねん〉と読む考え方があって〈あるがままの状態〉という意味らしいんです。

自然はいつも自分たちの身近にあって〈あるがままの状態〉だというのが昔からの考え方としてある。だから家族や友達のような身近な人を大切にするように、自然を大切にする感覚になれたら、自分たちも〈あるがまま〉で居られる。そういう暮らしこそが良いかたちなんじゃないかなと思っていて。それを何かのきっかけで感じられる人が増えたらいいなって、いろいろ考えているところです」

旅や登山、ヨガや農、そうしたものがMIKAさんの中でひとつに繋がって、北杜市での新しい暮らしが始まる。そして彼女の活動がきっかけとなって、自然と自分の〈あるがまま〉を大事にできるひとが増えていくことに期待したい。

MIKA SAITO
HERENESS YOGA COLLECTION

STORY

調和を供す ヨガスタジオとレストラン<br>studio monk / monk

調和を供す ヨガスタジオとレストラン
studio monk / monk

京都左京区にある「哲学の道」は、琵琶湖から引いた疎水が流れる小さな散歩道。この道の名前の由来となった哲学者西田幾多郎に倣って思索にふけりながら散策するのが本来の在り方だろうが、最近はランニングをする人の姿もちらほらと目にする。そうしたランナーも、ここでは心なしか哲学者めいて見えるから不思議だ。

その哲学の道沿いの住宅街に溶け込むように佇む〈monk〉は薪窯の炎を店の中心に据えた一軒家レストラン。オーナーシェフの今井義浩さんが、毎朝仕入れる大原の野菜をはじめとした自然の滋味を存分に味わうことができる。そしてその二階では、パートナーのエナさんがヨガスタジオ〈studio monk〉を主宰している。

9月にローンチしたHERENESS ヨガコレクションの撮影は、「食べること、体を動かすこと」を一体として表現しているこの場所で行わせて頂いた。

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つながりを取り戻す<br>リトリート

つながりを取り戻す
リトリート

夏の入り口、山の天候も落ち着いて初心者が登山を体験するには絶好の季節、八ヶ岳の美しい森に親しむリトリートが開催された。

普段、都会で暮らしているけれど自然に触れたい、けれどそのきっかけがつかめない、というひとたちの背中を押してくれるようなイベント。

主催したのはHERENESSのヨガコレクションのモデルを務めてくれたMIKAさんとその友人でフリーライターの茂手木佐和子さん。HERENESSもその趣旨に賛同し協賛させていただいたこのリトリートについて、佐和子さんにお話を伺った。

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自然の中にいたほうが体にはいい それは簡単な原理 ARATA FUNAYAMA

自然の中にいたほうが体にはいい それは簡単な原理 ARATA FUNAYAMA

ゴールデンウイーク前のある晴れた日、HERENESSのLOOK撮影のために長野県を訪ねた。そこでモデルをお願いしたのが船山改(あらた)さん、小諸市で暮らすアートクリエイターだ。ファッションの世界でパターンナーなどとして活躍した後、故郷の長野県に居を移し、現在は企業向けのデザインやコンサルティングをしながら、アート作品を生み出している。また双子の弟である潔(いさぎ)さんが、アウトドアメーカーのサポートも受ける本格的なクライマーということもあり、クライミングやスノーボードが生活の一部になっているそう。そんな船山さんが、いま取り組んでいるモチーフが〈縄〉だ。

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MORNING RUN WITH #002 YUSUKE OGURA

MORNING RUN WITH #002 YUSUKE OGURA

朝はランナーにとって神聖な時間。静まりかえった街に響くのは自らの足音と呼吸音だけ。自分の心と体にフォーカスし、日々の差分を確認する。季節の移ろいも光の変化も、一日のうちで最も顕著に感じ取ることができる。それもこれも、走るために早起きをしたからこそ。そんなランナーにとっての特別な時間を共有させてもらう〈MORNING RUN WITH〉、第2回はハーフマラソン日本記録保持者で、2021年琵琶湖マラソンの記録によってマラソン歴代十傑へと名乗りを上げた小椋裕介選手。

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MORNING RUN WITH #001 TASUKU ARAI

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朝はランナーにとって神聖な時間。静まりかえった街に響くのは自らの足音と呼吸の音だけ。自分の心と体にフォーカスし、日々の差分を確認する。季節の移ろいも光の変化も、一日のうちで最も顕著に感じ取ることができる。それもこれも、走るために早起きをしたからこそ。そんなランナーにとっての特別な時間を共有させてもらう〈MORNING RUN WITH〉、第一回は青山学院大学陸上部で主将を務めた荒井輔さん。

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混沌とした世界でも ランニングが「今」へと導いてくれる

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NYブルックリンで暮らす二人のランナー、ブライアンとローラにコロナ禍で変わったこと、そして走ることが彼らにとってどんな意味を持つのかについて話を聞いた

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Factory Tours |COMING SOON

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私たちの製品は、多くのひとたちの手を経て作られています。HERENESSが信頼するサプライチェーンのみなさんをご紹介していきます。お楽しみに!

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