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理想の動きを求めて
MOMOKO AKIYAMA

おっとりとした話ぶりからはとても第一線で勝負していた陸上選手だったとは思えない。おしゃれが好きでイラストを描いたりアクセサリーを作ったりといった側面も一般にイメージするアスリート像とは少し違っている。けれど彼女は、2020年青梅マラソン10kmの部で33分29秒で優勝という結果を残し、現役を引退したばかりのランナーなのだ。

3年半の実業団時代はちょっときつかった

「引退はずっと考えてました。一年目からタイム的にも気持ち的にも追いつかない部分があって、お金をもらってやっているのになんで結果に結びつかないんだろうって。やっぱり結果が全ての世界で。まだそういう時期じゃないから、これからだから大丈夫っていってもらってはいた。でも引退した年(2020年)の日体大の記録会で自己ベストが出て、青梅マラソン10kmでも優勝したのに全然嬉しくなくて。それまではやっぱり自己ベストが出たり優勝したりしたら当然嬉しかったんですけど、なんとも思わなくなっていて。これは何か違うのかなって思い始めて」

そこで秋山さんはチームに休みをもらい、母校の高校の練習に参加する。

「チームから離れて、でも走りたい気持ちにはなるので、高校の先生にも相談して合宿に参加させてもらったんです。走るのが楽しいという気持ちは残っていて、休んでいた分を取り戻すようにして走りました」

その後、実業団に戻ったがやはり気持ちは戻らなかった。秋山さんは決して成績が下がっていたわけではなかった、むしろ自己ベストを更新し、大会優勝まで成し遂げていた。ただ彼女には「職業として走る」ということがうまく体に馴染まなかったということなのかもしれない。

動きづくりにハマる

筑波大学時代から練習メニューを主体的に組み立てるということが求められたという秋山さんが、競技生活を通して特にこだわったいたのが「動きづくり」、いわゆるランニングフォームや走りの効率を高めるランニングエコノミーの分野だ。

「競技生活を通して調子が良いと感じたのは、動きが良くなっていった時。大迫傑さんみたいな動きをしたかったので、ビデオをたくさん観たり、自分でパーソナルトレーナーを探して通って、こうやって動かすんだって感覚がわかるようになってきた時の練習はすごく充実していました。

上半身と下半身の連動がうまくいくっていうか、いかに前に楽に進んでいけるかっていう感じですかね。それが自分の中で合致した時に楽に走れる感覚が生まれて、どんどん改善していった。

世界で勝負できるケニア人選手の動きをよく見ていました。接地のしかたとか、膝の向きや入り方を注意して見たり」

他の選手の動きも観察しながらマニアックに動きを追求していた秋山さん、現役時代のベストレースは?という質問に対しても良い動きができた試合をあげてくれた。

「2019年、最後に出場したクイーンズ駅伝なんですけど、その時は動きがハマりました。やっぱり最後はきつかったんですけど、全体的に力が抜けて走れていて、前の選手にもどんどん追いついて気持ちよく走れた試合でした。やっと自分の理想の動きができてきたなって感じでした」

作ることが好きで支えになった

秋山さんのインスタグラムをのぞくとポップなイラストや手作りのアクセサリーなどの投稿がたくさんあがっている。

「何かを作ることは元々好きだったんですけど、少し気持ちが落ちている時に突然母親から指輪でも作ってみたらって勧められて。全く知識もなかったんですけど、道具を一式買ってはじめてみたらすごく良いものができたんです。それでもっときちんとやってみようかなって。いまは欲しいっていってくれた人には材料費だけもらって作ってあげたりもしています。実業団に所属している頃はイラストもそうですし、何かを作るということが支えになっていましたね」

作ることやファッションが好きで、HERENESSのハーフタイツを日常でも着こなすという高度なスタイリングも楽しんでいる秋山さん。実業団を引退し、これからはウェアの着こなしも自由に楽しみながら、その美しいフォームで自分のために走りはじめる。

秋山桃子 身長163cm
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意味があることだから頑張れる NOBUYUKI SHIROI

ブレイクダンスで世界を旅してコーヒーに目覚める

白井さんの10代はブレイクダンスと共にあった。12歳という若さでダンスと出合い、天性の身体能力もあってか世界大会を連戦するまでになる。それが10代の若者だった彼の見聞を広めるのに大いに役立った。そして、ライフワークとなるコーヒーとの出合いもそうした旅を通してのことだった。

「ノルウェーの大会に行ったんですよ。そのときにコーヒーとの出合いがあって、そこからですね。高校生の頃から眠気覚ましでよく某チェーン店のエスプレッソとかは飲んでましたよ、苦い!って思いながら(笑)。その流れでノルウェーに行った時にコーヒーを飲んだ。それは極端にいうと酸っぱいコーヒーで、それがすごく衝撃的だったんです。そこから生きていくために仕事をするならコーヒーかなって」

これまで打ち込んできたダンスからコーヒーへの急転換、それほどこの時に味わったコーヒーが衝撃的だった。だから白井さんは、帰国するなりすぐ行動に移した。

「ノルウェーで現地の友人が連れて行ってくれたのが〈FUGLEN〉だったんです。そのときたまたま日本人のスタッフがいて、日本にも店舗あるよって教えてもらった。だからすぐ探してメッセンジャーでオーナーに連絡したら、会うチャンスをもらえたんですよ。そしたら、周年イベントがあるから手伝ってって。急だな〜と思いながら、是非って答えて(笑)」

日本でもサードウェーブ・コーヒーの先駆けとしてもはや老舗感のある〈FUGLEN COFFEE ROASTERS TOKYO〉は、ノルウェーの首都オスロで1963年に創業したコーヒーロースター。コヒー産地の風味=テロワールを活かした焙煎と流通におけるトレーサビリティやサステナビリティを大事にしている。日本には2012年に世界2号店としてカフェがスタート、2014年には渋谷でロースタリーをオープンした。白井さんはここでバリスタとして5年弱を過ごすことになる。

「コーヒーの仕事も初めてだし、接客業自体の経験がなかったからわからないことだらけでした。最初の一年はコーヒーを提供するところまでも至らなかったですね。思い通りにならず悔しかったですけど、そこから自分でいろいろと調べて、検証してというのを繰り返していて気付いたら5年弱経っていました」

山梨への移住 新しい働き方

実際にコーヒーの産地へ足を運ぶ機会にも恵まれ、濃密な日々を過ごした白井さんだが、2021年甲府北口にあるコーヒースタンド〈AKITO COFFEE〉で働くべく、山梨移住を決意する。

「自分の中で変化を求めていたんですかね。もっといろんな場所を知りたいし、いろんな文化に触れて価値観を広げたくて。ご縁があって〈AKITO COFFEE〉のオーナー丹澤亜希斗さんと話す機会があり、まさか山梨に越してくると思わなかったですけど、これもタイミングですね」

〈AKITO COFFEE〉は、丹澤亜希斗さんがひとりで始めたコーヒースタンド。2019年には味噌蔵を改装した焙煎所〈TANE〉もオープンした。スペシャリティコーヒーの文化を山梨にもたらし、地元に根づきながらも全国各地からこの店を目当てに人が訪れる場所にもなっている。

「働いていて、農家さんから野菜をもらうとか差し入れをもらうとか、東京でもありましたけどこんなにも頻繁にあるのか!って。お客さんの幅も広いですよ、ちっちゃい子も来ますし」

その言葉通り、平日の昼間にもかかわらず撮影の合間にもひっきりなしにお客さんが訪れる。年齢も性別もきっと職業も様々、みなスタッフと親しげに会話を交わす様子から生活の中に溶け込んだコーヒースタンドであることがみて取れる。白井さんがここでの仕事に満足しているがよくわかる光景だった。

意味があることだから頑張れる 全然苦痛じゃない

「ライフスタイルでいったら最高ですね。山も近いし、東京ではかけられない負荷を毎日かけられて。なぜか東京にいた頃よりこちらで一日中トレーニングする方が、疲労感もマックスで追い込めて最高なんですよ」という本人の言葉通り、白井さんはトレーニングマニアだ。高尾から河口湖を経て甲府まで200kmを走り込んだり、東京から4日間で熊本まで自転車を漕いだり、常人からは想像もつかないことをやってのける。けれど冒頭でも書いた通り、彼は楽しいからそれをやっている。

「小学生の頃から走るのは好きで走ってましたね、朝学校にいく前に走ったり。不思議なことに走ると楽しい、楽しさしか自分の中にはなくて。泳ぐことに関しても最初は苦手だったんですけど、高校生の時に気持ち次第かなって思ってプールに通い始めたら、あれ楽しいじゃん!って」

日本ではランニングをはじめとしたエンデュランススポーツは、部活動の罰走などで強制されてやる場合が多く、若い頃は嫌いになってしまうことが少なくない。白井さんの場合は、そうしたこととは全く別に、内在的な楽しさからエンデュランススポーツにのめり込んできた稀有な例だ。やがてトラックバイクとの出合いから自転車にも触れるようになり、トライアスロンという三種目競技に挑戦する土台ができていた。

「アイアンマンレースっていうすごい大会があるんですけど、そこに出ている人たちって本当に年齢層は幅広いですし、障がいを持っている人もたくさんチャレンジして完走している。それを見たのがトライアスロンをやろうと思ったきっかけです。やろうと思えば人間何でもできるなって。そこから学べることがある」

アイアンマンレースはスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmの総距離226kmにも及ぶレース。過酷なレースでありながら、80代の完走者もいるダイバーシティに溢れた温かいレースでもある。

「コロナの影響もあってレースがキャンセルになってばかりでまだ実際にアイアンマンレースに出場できてはいませんが、チャレンジしたいなって。何にでも共通することだと思うんです。トライアスロンだけじゃなくて、仕事の面でも僕には目標がありますし、メンタル面で鍛えられると思います。トレーニングを通じて学ぶことがたくさんありますね」

どこまで話しても体を動かすことにポジティブで楽しさばかりが口をついて出てくる白井さん、彼に苦しいことはないですかと尋ねてみた。

「それはトレーニングは辛いことの方がたくさんですけど、それって意味のあることだから頑張れる。全然苦痛ではないです」

これを書いているいま(10月8日)も、彼はトレーニングを兼ねて八ヶ岳の全山縦走に挑戦している。温かいお客さんたちに支持されて働く環境と山梨の雄大なフィールドを得て挑む、白井さんのアイアンマンレースが楽しみだ。

NOBUYUKI SHIROI
HERENESS SUGARCANE LONGPANTS

調和を供す ヨガスタジオとレストラン
studio monk / monk

本当の自分に向き合える時間

大学生の頃に教則本やDVDなどを通じてヨガを体験したというエナさんは、自己流でありながらもその心地よさを実感していた。やがて社会に出て心と体の不一致を感じるようになった時、改めてヨガと出合いなおす。

「クラスを受けてみたときに、わたしバラバラだったなって気づいたんです。その当時は若かったこともあるし仕事が激務だったのでいつも疲れていた。仕事をしているときの自分とプライベートの自分、何が本当の自分なのか悩んでいた。それをいま言葉にできるならば、本質といわれるもの、自分の芯である部分をヨガの時間に感じてすごく気持ちがよかった。くつろげたっていうのかな。

やがて仕事を辞めることになった時に、もう少しヨガを深めてみたいと思った。そうしてティーチャートレーニングを受けたのがヨガの人生、生き方の始まりだったのかなって思います」

一方、義浩さんも料理のかたわらでヨガに取り組んできた。

「ヨガに最初に出合ったのは学生時代のバックパッキングでバリ島に滞在していた時。近くにスタジオがあるから行ってみるかって。その時の経験がすごく印象に残っていた。それで軽井沢のレストラン〈エンボカ〉で働いている時に友人の勧めでアシュタンガヨガをはじめました。

やがて京都に仕事で移ってきて、初めて自分のお店を任されて友達もいないしで悩みも多い時期だったんですけど、ヨガをしている時間だけがちょっとそこから離れて真っ白になれた。アシュタンガをめちゃめちゃ深めているというわけではないですけど、何かそのスタイルは好きだったんですね」

ふたりを結びつけたのもヨガだった。エナさんが、義浩さんのお店にお客として出向いた時の会話がきっかけだった。

「同じスタジオで練習してるんですねって話になって。毎週火曜日の早朝練習で顔を合わせるようになっていきました」

常に調和を選ぶ

ヨガを始めた頃はアーサナ(ポーズ)=ヨガという感覚だったというエナさんは、ティーチャートレーニングでヨガ哲学と出合い、ヨガだけに集中する海外での生活も経て、ヨガがアーサナだけでなく生き方全てに及ぶものだということに気づいたという。

「端的に言うと、生活の中でも常に調和を選ぶんですよ。わたし達は生きている中で、朝起きてから寝るまでずっと選択してますよね、AかBかみたいに。道だって右にいくか左にいくかとか、子どもにかける言葉ひとつとってもどう伝えるかとたくさん選択する機会があると思うんですけど、常にその中で調和を選ぶ、不調和を選ばないっていうのを一日中実践し続ける。

小さな選択ひとつひとつを調和を意識して行うことで、生活全体が良い方向に向かうようになりましたね」

一方でmonk=修行僧のようにあくまで料理を本分とする義浩さんは、ヨガを通じて得た集中力が仕事に活かされていると感じているそう。

「特に若い頃に考えたのは技術的なこと。少しでも料理がうまくなりたいって毎日思って暮らしていた中で、包丁を1ミリ動かそうと思ったときに、その1ミリを動かせるか、一転食材がゴミになってしまうかというコントロールも、ヨガをやってくことですごく変わっていくような気がしていた。

そしてやっぱりね、気持ちの面での集中力。お店でいろんなことが起こってる中で、集中力を良い状態に保ち、ゾーンに入れるかっていう部分でもすごく良いトレーニングだなって。トレーニングというとヨガに対して下心があるけど、本当にそれが自分にとってもっといい仕事をするための良いツールだなって思って練習をしてました。仕事から離れるための時間でもあったんですけど、仕事に直結する必要なもの大事なものでもありましたね」

人生のハンドルを握ったことはない

やがてヨガを通して出会ったふたりが、〈monk〉、〈studio monk〉という理想の場所を持つに至るのだが、実はそこまでの道のりは予め計画していたというようなものではなかった。

エナさんは働いていたスタジオのマネージャーという役割をいったん手放し、フリーランスのヨガインストラクターとして活動しようと考えていた。インドへ行く計画もあった。一方、義浩さんは任されていたお店〈エンボカ京都〉を卒業したところだった。

「そのタイミングでそろそろどこか海外に行こうかなと思っていたら、“赤ちゃんできたんだけどっ”て。じゃあ留まってお店をやるかって」

生まれ育った茨城や働いたことのある長野も候補にあがったが、やはりお店を開くなら京都だろうということになり物件を探す日々が始まる。

「サイズ感とか場所の感じとかばっちり理想がありました。京都の外れで緑もあればいいなって、その感じはちょっとずつ固まってきていて。妊娠8ヶ月くらいから物件探しをはじめて、無職ですし収入もなくて暗黒期だったんですけど(笑)。娘も生まれてきた頃にようやく今の〈monk〉の物件が見つかりました」

「本当に自然と流れ流されて」と笑うエナさんに、「(人生の)ハンドルなんて握ったことないよ」と義浩さんが返す。子どもを授かったことをきっかけに生まれたレストランとヨガスタジオが生まれてから5年、ふたりが根を張ったこの場所は地元で愛されるだけでなく遠方からも多くの人が訪れる磁力を帯びるまでになった。

みんなが自分自身にくつろげる場に

「いま自分の仕事としてやりたいこと、料理のあり方なり、表現の方法、お店として全体の表現の方法をそれなりに固めることはこの最初の5年間でできた。それをどんどんね、もっと5年、10年と深めていくことで、どんな世界が見えるんだろうっていうことが楽しみでもある。もっとどんだけ深い井戸を掘れるか、みたいなところはあります」と義浩さんは、手応えを感じているこの店と料理を成熟させていくイメージができている。

一方、エナさんはヨガを通してくつろぎを提供できる喜びを感じている。

「スタジオのキーワードになっているのが、お話しした〈調和=ハーモニー〉と〈明かりを灯す=エンライトメント〉、あと〈喜び=ジョイ〉なんです。

スタジオに来られた方がヨガに限らずこの場を通して、私が最初にヨガに出合った時のような心と体とスピリット=本当の自分、を統合していくような時間を自然に感じられたら。その人が本当に自分自身にくつろげて、生活に戻っていったときに周りの方にもそうした調和的な感覚だったり深い感動だったりというのが伝わっていく、そんなきっかけの場所になればいいなと思っています」

HERENESS YOGA COLLECTION


studio monk
606-8404 京都市左京区浄土寺下南田町147 monk2F
Google Map

Mail : hellostudiomonk@gmail.com
Tel : 050-3623-1853
Instagram : @studio_monk

monk
606-8404 京都市左京区浄土寺下南田町147
Tel: 075-748-1154
Mail: restaurantmonk@gmail.com

Dinner : 17:00~20:30(最終入店) 23:00 Close
日曜、月曜休み

つながりを取り戻す
リトリート

分けてしまうと偏りが生まれる

「今回のテーマは〈つながり〉だったんです。MIKAちゃんも前回のHERENESS MAGAZINEで話していましたが、今はわかりやすいという理由で〈わたしとわたし以外〉、〈精神と体〉、〈自然と人間〉って切り離されていると思うんです。ただそうして分けてしまったらどちらかが偏ってしまうよねって思っていて、そこを全部つなげられるコンテンツにしたいなって」

こうした思いをかたちにしたのが、登山とヨガ、“書く瞑想”とも呼ばれるジャーナリングを組み合わせたリトリートだった。

場所は八ヶ岳、ルートは麦草峠から白駒池を抜けてニュウを登り人気の山小屋黒百合ヒュッテで一泊、翌日は天狗岳を登って渋の湯へ下るというもの。標高2,000mまでバスでアプローチできる麦草峠は、登山口としてはかなり高い地点にあるので初心者でも無理がない。それでいて白駒池周辺の苔むした森や、天狗岳の勇壮な風景も楽しめるよく考えられたコースだ。

歩き出してすぐの白駒池にて 右が主催者の佐和子さん

「登山で自然の中を歩く、それは人間と自然界をつなげる役割をしてくれる。ヨガは体と精神をつなげる役目がある。ジャーナリングは自分のことを集中して考える機会ですが、実際は自分と自分以外の人との関係性の中で個が形成されていくという気づきに繋がる。それぞれ3つをつなげるコンテンツになればよいと思って組み立てました」

登山経験の豊富なMIKAさんが皆をサポート

初日のピーク、ニュウを目指す

ニュウから白駒池をのぞむ

全体を見て整えていくことが大事

佐和子さんが企画したこのリトリートは、自身の体験に根ざしたものだ。MIKAさん同様、東京から山梨に拠点を移し、書くという仕事と生活を地続きのものにしようと試みている。

「出版社に勤め、健康やスポーツに関わる媒体で働いていたので、自分の体や精神のケアの方法や知識はものすごく身につきました。インタビューする方もヨガの先生だったり、食に詳しい方だったり、心地よく生きてる方が多かったんです。

一方で自分を振り返ってみると、とても忙しい中で体調を崩すこともありました。人間関係もハッピーだったし、忙しい以外で悩みはなかったんです。でもふと時間をおいて自分の中に何があるかな、何を大切にしたいかなと思った時に、もう少し自分の環境を大切にしたいという気持ちに素直になってみてもいいかなって。

いまは何もしないでいるとデジタル世界にひたるとか数字やアルゴリズムにコントロールされるのがあたりまえになってくる。もう少しそこに自分の身体性を伴う行動を増やしていきたい。それはいまやっている畑もそうですし、すぐに山にアクセスできる環境もそうですし、運動もそうです。自分の内臓の感覚とかそういうものを指針にして生きていくスキルを身に付けたいなと思ったのが、移住の大きなきっかけです」

自然とつながり ひととつながる

こうした思いに共感して集まった参加者は20代〜40代、性別も国籍も様々な20名ほど。雄大な自然の中で体を動かすことで、心も自ずと開いていく。

「思ったよりもひとりで参加してくれた方が多かったんですが、みなさん分け隔てなくコミュニケーションをとっていた。常々、運動をしている時って性別だったり職種だったり、自分が今持ってるラベルと関係なしに距離が縮まるなとひしひしと思っていて。今回それを実現できた場だったと心底思いました。

ジャーナリングに関しても控えめにした方がいいんじゃないかと思って、シェアの時間とかペアになってのワークの時間とかあえて作らなかったんです。でも“もっと話しながらやりたかった”、“みんなの声をききたかった”っていうようなポジティブな答えをいただいた。いまは個人主義の人が多いのかなと思っていたんですけど、やっぱりなにか(つながりを)欲している部分があるし、受け入れる体制を持っているというところに気づかされたリトリートでした」

登山にヨガとジャーナリングを組み合わせ、心と体と自然をつなげるのがこのリトリートの大きな特徴

多くの人が心と体、自然と都市生活のバランスに違和感を感じている中で、〈つながり〉を取り戻すことで心地よい地点を見つける。そうした機会を提供する佐和子さんとMIKAさんのリトリートは年4回、四季折々を楽しめる企画を検討しているそう。早速、9月の終わりには2回目のリトリートが赤岳鉱泉で行われる予定だ。今後の開催情報などはふたりのインスタグラムアカウントで常時発信されるので、ぜひフォローを!

SAWAKO OMURA
MIKA SATO
HERENESS MOUNTAIN COLLECTION

On Running ランニングの合間に

Outlook
On Running ランニングの合間に

パンデミックの影響でメンタルや健康に不調をきたすことが多いと聞くが、幸運なことに、そうした悪いコンディションとは無縁のままでいられている。それどころか、体力もついてきて毎晩ぐっすり寝ている。食生活や会社が提供してくれるさまざまなWFH支援のおかげもあるのだろう。でも最も確実な理由は、運動不足解消のために始めたランニングにすっかり没頭していることだ。習慣の域を超えて、生きがいにすらなりつつある。



定期的に運動するのは実に約20年ぶりで、ランニングを始めたばかりのころは3kmでへばっていたものだ。近所の公園では、小さな少年や高齢者の方に何度も抜かれた。いまは徐々にペース配分と走り方を覚え、10kmを週3回走っている。観葉植物への水やりやゴミ出しと同じように、必要欠くべからざるものとして毎週の習慣に刻み込まれている。



ちょっと話が逸れるけれど、国際政治学者の藤原帰一さんの「映画を見る合間に、国際政治を勉強しています」というTwitterプロフィールがとても好きだ。東京大学教授まで務めるほどの自身のプロフェッショナル性を「映画好きである自分」が凌駕していることがセンスよく表現されている。そうした観点では、村上春樹さんの『走ることについて語る時に僕の語ること』に記されている、墓碑銘に「作家(そしてランナー)」や「少なくとも最後まで歩かなかった」と刻んでもらいたい、という一文も同じような話かもしれない。流石に墓碑銘に刻むほどのめり込むかはわからないが、ランニングには「ひょっとしたら自分もそうなるのでは」と思わせるほどの底無しの魅力がある。少なくとも、来年あたりには「ランニングの合間にLobsterrというメディアをやっています」などと言っているかもしれない。



ランニングの効用は数え切れないが、最も重要なのは精神性の回復だ。週末も『Lobsterr Letter』のエッセイを書いたり文章を読んだりしていると生活のなかで考えることの比率が高まり、純粋に何かを「感じる」時間は少なくなる。身体性や感情を無視してしまうことに慣れている自分がいる。ランニングはそうしたものを取り戻すためのリハビリとして機能する。走るごとに回路が生成され、世界を受け止めるための新しい細胞が芽吹く。



最近読み返している『BORN TO RUN 走るために生まれた』には、スポーツ医学や生物学的にいかに人間が長距離を効率よく走るための身体をしているのかが詳述されている。ばねのような脚、ほっそりした上半身、無毛の皮膚、太陽光を貯めにくい直立した姿勢などの人間の身体的特徴は、歩くためでなく(ましてや座ってディスプレイに向かうのではなく)、走るために最適化されているのだという。



先週、ランニングの大先輩たちと語らいながら、新緑が目に眩しい代々木公園を5周した。いつもより少しゆったりしたペースで走りながらかけてもらった「気持ちよければいいんですよ」という一言が忘れられない。「ランニングは身体や精神を解放するため」と言いながらも、週に3回という自分なりの決まりや、キロあたりのペース配分に気を遣うあまり、身体性を思考の配下に置いていた自分に気づく。走るときくらい良し悪しや規範、記録などをすべて脇に置き、季節に応じて空気や景色、脚にかかる心地よい負荷に耳を傾けていたい。──Y.S


『Lobsterr Letter』は、 世界中のメディアから「変化の種」となるようなストーリーをキュレートするウィークリーニュースレター。
コンパクトな文量で、 ロングスパンの視座を。 皮肉や批判よりも、 分析と考察を。 ファストフードのようなニュースではなく、 心と頭の栄養となるようなインサイトを。
目まぐるしく進む社会のなかで、 立ち止まり、 深呼吸をして、 考えるためのきっかけを届けている。
下記リンクから是非購読を!

www.lobsterr.co

自然(じねん)を求めて MIKA SAITO

北杜市への移住

「もともと夫婦でずっと山登りを続けていて、八ヶ岳やアルプスに都内から時間をかけて通っていました。自分たちのアクティビティの中に山はずっとあるだろうなというのがあって、だったら山に近いところに住みたいねという話はしていたんです。

一方で、できるだけ自給をしていきたい、家族で食べる分だけでも自分たちで、と思っていました。大学院が農学研究科だったので、農業に興味があって。それを実践するには都内ではないなというのがありました。北杜市には実際にそういう暮らし、パーマカルチャーというんですけど、その暮らしを実践するパーマカルチャーデザイナーの方もいるということで決めました。自分でもこの8月に神奈川県藤野にあるパーマカルチャー・センター・ジャパンというところに通って、パーマカルチャーデザイナーの資格を取る予定です」

パーマカルチャーは1970年代にオーストラリアで生まれた考え方。パーマネントとアグリカルチャーを合わせた造語で、永続的な農業及び暮らしを営むことを目的に具体的な実践とデザインが提案されている。日本でも神奈川県の藤野(相模原市緑区)のパーマカルチャー・センター・ジャパンや北海道余市町のパーマカルチャー北海道などでワークショップなどの啓蒙活動が行われているので、関心があればこのパーマカルチャーを学ぶことができる。

MIKAさんがこうした活動に関心を持った背景には、大学院の農学研究科で食や栄養学を学んだということがあるそうだ。大学院卒業後は、飲料メーカーで、ビールづくりに関わる研究職として勤務していた。

「朝8時からビールを飲んだりしていましたよ(笑)。そうした研究の仕事をしていたんですが、もっと自分で暮らしを作るということにシフトしたいと思い、仕事をやめて移住しようとなりました。

コロナでもスーパーで行列ができたりということがあったじゃないですか。それがなくなると生きていけない〈消費者〉みたいになっちゃうことが本当にいいのかな、という疑問があって。自分でできることは自分で作っていく生活がしたいなと」

旅で出合ったヨガ

自然な暮らしを求めるMIKAさんのルーツのひとつが旅。そしてその旅でヨガと出合った。

「大学院合格を機に1年間休学をして世界を一周しようとひとりで旅をしました。無計画だったので片道の航空券だけを買って。でも、なぜかインドにだけは興味があって、事前にビザを取って旅に出ました。北インドを中心に3ヶ月くらいまわっていたときに、リシュケシュという場所にたどり着きました。ここはヨガの聖地らしいというのを聞いたので、ちょっとやってみようかなくらいの意識で1ヶ月くらいの間、毎日4時間マンツーマンのレッスンを受けたんです。その時本当に心と体が整うという経験をしました」

インドでヨガと出合ったMIKAさんは、帰国後もヨガを続けた。しかし、ブランクの期間もあったという。けれど社会人になって忙しい毎日の中で、またふとヨガのことを思い出す。

「そういえばヨガってあったなって思い出して再開して。ヨガをするうちに何度も救われました。心が動いているときに〈今に戻す〉練習をすると、あ、ヨガっていいなって。そこでもう一度しっかり学ぼうって思ったんですね」

そんなきっかけでヨガ講師の資格を取得したMIKAさんは、コロナ下でも参加しやすい屋外で行うパークヨガを主催するなど精力的に活動を続けた。そんな彼女にヨガの魅力について尋ねてみた。

「〈今の幸せに気づく〉というのがヨガができることだと思っています。みんな外に幸せを求めるってことが多いと思うんですけど、〈今ここ〉に自分の意識を戻した時に、本当に目の前に溢れてる幸せに気づくことができるようになる。いつでも誰でも穏やかな状態に保てる。

私にとってヨガはよりよく生きるためのツールなんですが、そういうツールって何個持っててもいいじゃないですか。私にとってそれはヨガだし、山登りだったり、本を読むことだったり、そういうツールがより良くするためのひとつとしてみんながうまく使いこなせたら心地よく生きていけるんじゃないかって思います」

人も自然の一部

登山を通じて豊かな自然に触れ、そしてヨガを通じて心の平静を得たMIKAさんが感じ取ったのは、人も自然の一部であるということ。それが、日本に昔からある〈自然(じねん)〉という考え方の再発見につながった。

「いま、人が自然を守ろうとか、人が自然を破壊するとか、そういう表現が多いと思うんですけど、本来は人も自然の一部ですよね。昔の日本では〈自然〉と書いて〈じねん〉と読む考え方があって〈あるがままの状態〉という意味らしいんです。

自然はいつも自分たちの身近にあって〈あるがままの状態〉だというのが昔からの考え方としてある。だから家族や友達のような身近な人を大切にするように、自然を大切にする感覚になれたら、自分たちも〈あるがまま〉で居られる。そういう暮らしこそが良いかたちなんじゃないかなと思っていて。それを何かのきっかけで感じられる人が増えたらいいなって、いろいろ考えているところです」

旅や登山、ヨガや農、そうしたものがMIKAさんの中でひとつに繋がって、北杜市での新しい暮らしが始まる。そして彼女の活動がきっかけとなって、自然と自分の〈あるがまま〉を大事にできるひとが増えていくことに期待したい。

MIKA SAITO
HERENESS YOGA COLLECTION

SUSTAINABLE TALK #003 天然素材アイテムで洗濯を快適に

皆さんは洗濯は好きですか?お気に入りの服がきれいになって、パリッとするのが気持ちいい!という方もいる一方で、面倒なんだよなぁという意見も聞こえてきそうです。そんな方も、道具を入れ替えてみたら少しは洗濯を好きになれるかも。今回のSUSTAINABLE TALKは、洗濯ラバーにもおすすめで環境に優しい洗濯アイテムをご紹介します。

WASH NUTS(ウォッシュナッツ)


木の実で洗濯ができるなんてご存知でしたか?日本では羽子板の黒い球として馴染みのあるムクロジは、昔から世界中で洗濯用に使われてきました。サポニンという泡立ち物質を含むため、自然な泡が発生して汚れを落としてくれます。

実際の洗濯での使い方も簡単です。小さな巾着袋にムクロジを5~10個程度入れて服と一緒に洗濯機に入れるだけ。

嬉しいことに洗剤としての性質は「中性」なので、HERENESSのウール製品にも安心して使えます。臭いにくいから洗濯回数が少なくて済むウールとWASH NUTS(ウォッシュナッツ)=ムクロジは環境保全には最強の組み合わせですよ!

WOOL BALL(ウールボール)


乾燥機を使っている方は、乾燥時間の長さや仕上がりの風合い(バリバリになったりしますよね)に不満を感じているのではないでしょうか。それを解決するのがウールボール、名前の通りウールの塊です。ふわふわでかわいいので一見、置物のよう。

これも使い方は簡単で、乾燥機に服と一緒に入れるだけです。乾燥時間をだいたい25%程度短くしてくれるそうです。また静電気を防ぐためシワにもなりにくい。ウールボールに好みのアロマを数滴垂らして香りづけするという裏技もあるそうですよ。乾燥時間が短くなり、柔軟剤を使う必要もなくなるので環境にも優しいのです。

グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ


最後に天然素材ではありませんが、洗濯時の環境負荷を抑えてくれる定番製品もご紹介します。グッピーフレンド・ウォッシング・バッグは、化学繊維が洗濯時に放出してしまうマイクロファイバーが排水として流れ出てしまうことを防ぐネットです。もちろん洗濯後にバッグに溜まったマイクロファーバーは適切に処分してくださいね。グッピーフレンド・ウォッシング・バッグの販売による利益はSTOP! Micro WasteとSTOP! Plastic Academyの活動にあてられるそうなので、二重の意味で環境へのアクションとなりますね。

こうした環境に配慮した洗濯道具は、毎日の生活の中でサステナブルへの意識を思い出させてくれます。さらにいえば、洗濯回数を減らすことができればなお環境負荷は下がります。ウール製品は臭いにくく洗濯回数を減らすことに貢献してくれますから、うまくワードローブに取り入れてみてください。

自然の中にいたほうが体にはいい それは簡単な原理 ARATA FUNAYAMA

〈縄〉というモチーフとの出合い

「いろんなところから繋がってというか、まさに〈縄〉が繋がりそのものなんですけど。きっかけのひとつは(縄=ロープに命を預ける)クライミングをやっていたこと。もうひとつは、去年、鬱になってしまったことなんです。自分は何がしたいのかなって。お金もないし場所もない、何があるんだろうって。改めて考えた時に、周りの人だったり、仕事だったり、全てのものは繋がりの中にあると気づいたんです」

完璧主義から、東京での生活では食事をとる間も惜しんで仕事に打ち込んだ船山さん。心と体のバランスが崩れたと感じたところで、故郷の長野に戻ることを決断する。豊かな自然に囲まれた小諸のログハウスに居を構え、静かな環境の中で作品の制作や新たな仕事、アウトドアアクティビティに打ち込むことで少しずつ目指すべきバランスが見えてきた。

自然の中にいたほうが体にはいい。それは簡単な原理

「小さい頃は軽井沢の自然に囲まれた環境にいて、遊ぶのも通学路も常に自然が身近にあって、全部が庭だった。自然が身近にあってそこから遊びも思いついた。色ひとつとっても自然の色って無限だなって思うんですよね。同じ色ってひとつもないと思うし、そういった自然の中で育っていた。

人間っていうのはそもそも動物なので、自然の中にいた方が体にも当然よくて、それは簡単な原理。木が出したものを僕らが吸って、僕らが出したものを木が吸ってくれている。全てのものは循環していて、そこに相反することっていうのは僕にとってもそうですし、今住んでいる地球にとってもよくないなってことに気づかされました」

そうした自然と調和してきた日本の文化に惹かれるという船山さんが、〈縄〉の持つ重層的な魅力についても解説してくれた。

「縄って実は二方向あるんですけど、それによって力が発揮されるっているのが縄文時代の考え方。そういう日本と関わりの深いものが縄なんです。そして一本の中にすごく細い糸が束になっていて、その糸も繊維が連なってできている。表面から見るとひとつに見えるんですけど、より複雑なものが積み重なって積み重なって、はじめてひとつに見える」

人との繋がり、そして自然との繋がりから立ち上がってきた〈縄〉というモチーフを船山さんは大事に育んでいる。

arata funayama
Art creator
Photography/design/pattern/edit/ideas

SUSTAINABLE TALK #002 使えば使うほど環境に優しくなれるアプリ

サステナブルな消費行動に関心はあるけれど、何からはじめていいのか分からない。そもそも自分一人のアクションに何の意味があるのか、と悶々としたことはありませんか? 今回はそんなモヤモヤを払拭し、気持ちよく取り組むサポートをしてくれるアプリをご紹介します。

mamoru

mamoru (まもる)は人や地球に優しいお店と出会い、よりサステナブルな生活をサポートする無料のアプリ。サステナブルなお店の検索に使用できるほか、SDGsに取り組むコミュニティとも繋がることが可能。
お店探しのマップとして使えるだけでなく、自分で見つけたサステナブルなスポットを追加することでアプリ全体のマップが充実していくという双方向的な関わり方ができるのも大きな魅力です。アプリ内で画像やレビューを投稿すればお店の応援にも繋がります。
*α版(2021年5月現在)

mymizu


mymizuアプリは、外出中どこにいても無料で水を補給することができる参加型プラットフォーム。日本で約6,500箇所、世界では約20万箇所の給水ポイント「mymizuスポット」を公共施設や一般のカフェなどに設置することで、使い捨てプラスチックの削減をはじめ、消費行動自体を変えことを目標としています。
アプリには給水を記録する機能があり、ユーザー数だけでなく、給水のニーズや環境問題に関心を示すユーザーを可視化。また、使わずに済んだペットボトルの数や削減できたCO2の排出量が計測されます。「海洋汚染」「プラスチック問題」となると問題が大きすぎる為、個人としてなにができるか見えにくいのが現状ですが、テクノロジーを通して日常の水分補給をデータ化することで、自分にとってより身近なものにしてくれます。何かしらアクションを起こしてみたいという人は、まずマイボトルから始めてみるのもオススメです。

Pirika


ごみ拾いを楽しくするボランティアSNS Pirika(ピリカ)は、「いざ、ゴミ拾い!」と肩肘を張らず、いつでもどこでも拾った時が「ボランティア」になるアプリ。使い方はいたってシンプル、ゴミを拾ってその写真を投稿するだけ。例えば、ランニング時に休憩で立ち寄った公園で、最寄りのスーパーまでの道端で、といった日常の中でゴミを見つけることは(残念ながら)多々あるはず。もし拾う余裕があれば、たとえ一つでも拾って投稿することができます。
先日、筆者が初めて投稿してみたところ、わずか1日で43件の「ありがとう(≒Likeボタン)」と5件のコメントがつきました(なんて温かい…!)。自分の何気ないアクションに対する「ありがとう」の声は素直に嬉しいものですね。

さらに、拾った場所の付近では毎日のように誰かがゴミ拾いを投稿していることもアプリのマップから判明。すぐに始められる手軽さだけでなく、周りにも活動する人がいると励みにもなり、思いのほかハマる方も多いのではないでしょうか。

「小さなことからコツコツと」というと、始めるのが億劫に感じたり、継続しにくいことが多々ありますよね。しかし、これらのアプリならいかがでしょう? 今すぐ始められそうな気がしませんか? 「楽しいこと、気持ちの良いこと」として日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。私たちも皆さんと一緒に取り組んで行けるアクションを企んでいますので、ぜひそちらもお楽しみに!

SUSTAINABLE TALK #001 サステナブルなだけじゃない? 〈量り売り〉こそ美味しい理由

量り売りといえば、袋などの無駄なゴミを減らせる、必要な量だけを買えるのでロスが少ないなど、誰もが関われる〈エコな取り組み〉として認知されています。でも意外に見落とされがちなのが、美味しくて新鮮なものに出会えるチャンスでもあるという点。今回はグルメな視点で東京にある量り売りを行うお店をご紹介します!

nue by 斗々屋


国分寺にあるnue by 斗々屋は、全ての商品を量り売りするゼロ・ウェイストショップ。調味料やスパイス、穀物などのオーガニック食料品をはじめ、洗剤などの生活用品なども取り扱う。ラインナップが充実しているので、必要なものをまとめ買いしやすいかも。

TAP&GROWLER


下北沢に店舗を構えるTAP&GROWLERは全国のブルワリー直仕入の樽生専門店。リユースボトルに好みのクラフトビールを詰めてくれる。特殊な方法で圧をかけながら入れることで、ビールの酸化と泡立ちを防ぎ、新鮮な味わいを保つことができるので安心して自宅で生ビールを楽しめます。

佐野みそ


全国から集めた45種のこだわり味噌が揃う味噌専門店佐野みそ。そんな種類から選べないという方もご安心ください。味噌に精通した「噌(ソ)ムリエ」さんが案内してくるので、味噌の世界の幅広さを体感しながら自分好みの味噌にきっと出会えるはず。100gから購入が可能なのでお食事に合わせて使い分けられるのも大きな魅力です。

美味しいものを求めることが、環境負荷軽減へと繋がり、僅かながらもサステナブルな循環を生み出せるwin-winな量り売り。グルメな量り売りを見つけて、よい食卓を作りながらよい消費サイクルを実践してみてはいかがでしょうか?

ランニングを通した出会いで 今の自分はある
MIZUKI KATSUMATA

薬剤師として忙しい日々を過ごしながら、ランニングコミュニティ〈LOL RUN CREW〉を立ち上げた勝俣水稀さん。走り始めたきっかけは大学時代に参加した名古屋ウィメンズマラソンだった。

ゆっくり走ってもいいんだ

「フルマラソンを一生に一回は走ってみたいよね、っていう気持ちはどっかにあって。でも周りにそんな子もいないし、特に自分から何か行動を起こそうってわけでもなかった。そんな時に名古屋ウィメンズマラソンを目指すトレーニング企画に声をかけてもらって、これチャンスだなって」

参加したプログラムは、ランニング初心者が中心。通えば徐々に距離を走れるようになるトレーニングは彼女にとって新鮮だった。それまで走ったことのある最長距離は5kmだったけれど、自然に10kmを走れるようになっていた。

「きついんだろう、無理だろって思ってたんですけど、みんなでゆっくり楽しく、話をしながら走る、そういったコンテンツがあった。ゆっくり走って良いんだって、ガチガチな部活のイメージから変わっていった。ゆっくりみんなで走って、気づいたら10km走れたって。走ることはきついというのはいわゆる偏見だったのかなって、その時思いました」

レース本番は当然苦しさもあったものの、それを大きく上回る喜びや驚きがあった。

「自分の中で30kmまでは絶対止まらないでいこうって決めてました。その30km地点を越えてストレッチで止まった時に、全然知らない沿道の応援の方が(筋肉の冷却)スプレーを貸してくれたんですよ。ほんと泣きそうになっちゃって。何でこんな知らない人なのに!って。走り終わった後、確かにきつかったってのもあるんですけど、やっぱり楽しかったっていう気持ちの方がすごく強くって、それをきっかけでランニングを続けるようになりました」

ランニングを通した出会いで、今の自分はある

勝俣さんにとって、ランニングは生活の一部となった。それだけでなく2019年には仲間とランニングコミュニティを立ち上げるまでになる。ただ、医療系のメンバーも多く、時間がまちまちで一般のランニングコミュニティのように、毎日毎週この時間といったルーティンを組むのが難しかったそう。

「だったらその時来ることができる子たちが主体になって、時間や場所を決める。今回はここで走ろうねって。ただ走るだけではなくて、ランプラスαでいろいろ企画したりしてきました」

そうした企画が立ち上がっていく中で、スキンケアブランド〈ロクシタン〉が取り組んでいる視覚障がい者支援プロジェクトとのコラボレーションなど、社会課題に取り組むプログラムも実現できた。

「街の歩道にある視覚障がい者用の点字ブロックをみながら、追いかけながら走るっていう企画をさせていただいて。東京に点字ブロックがこんなにあって、でもこういうところ剥がれちゃってるよねとか、そうした問題にも気づけたり。そのあとは〈ロクシタン〉の製品に必ずある点字を実際にみんなで読んでみたり。いろんな気づきになりました」

コロナの影響もあり、コミュニティとしての活動には自ずと限界もある。その中でも、工夫しながら仲間との繋がりやモチベーション維持を試みている。

「朝、zoom上で集まって、各々走って、またオンラインで集まるなんてこともしてみました。一緒にコミュニティを始めたリサという子が今はシンガポールにいるんですけど、彼女とインスタライブでつなぎながら走って、つなぎっぱなして、今どこ走ってんの?って。それをメンバーもみながら一緒に走ったり。
 
 あなたにとってランニングとは?という質問を受けたことがあって、〈コミュニケーション〉っていうのがパッと出てきた。スポーツとしてのランニングもすごく好きなんですけど、私としてはそういうコミュニケーションとしてランニングを使ってるなって。ランニングを通しての出会いで今の自分があるなって思います」

勝俣水稀 身長165cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (INK BLACK) Sサイズ ¥9,900
SUGARCANE SHORTS (OLIVE GREEN) Mサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS SHORT (BLACK)Sサイズ ¥2,200
✳︎価格は全て税込

MORNING RUN WITH #002 YUSUKE OGURA

自分はマラソンで戦える位置にいる

HERENESSが立ち上がってすぐのこと、インスタグラムのアカウントに意外な人物からフォローが入った。ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介選手。海外のインディペンデントなスポーツウェアを自ら取り寄せて愛用するなど、実力とセンスを両立している小椋選手からのフォローにHERENESSスタッフは大いに沸いた。そして、小椋選手の情報収集力と発信力に驚かされた。ぜひ小椋選手のSNSアカウント(twitter:@conboy0416 instagram:@yusuke_ogura1993)を覗いて欲しい。彼のあたたかな人柄と誠実な姿勢に魅了されるはずだ。

その小椋選手が凌ぎを削る日本長距離界はいま収穫の時を迎えている。設楽悠太選手が2018年の東京マラソンで15年振りに日本記録を更新すると、8ヶ月後には大迫傑選手が新たな記録を打ち立てる。そして先日行われた歴史ある〈びわ湖毎日マラソン〉(残念ながら今回が最後の開催となった)では鈴木健吾選手がまさかの2時間4分56秒で新たな日本記録保持者となった。

その〈びわ湖毎日マラソン〉を2時間6分51秒という好タイムで駆け抜け、日本歴代マラソン十傑に数えられることになった小椋選手は、「優勝は狙っていました。まさか2時間6分台を出して優勝を勝ち取れないなんて思っていませんでしたよ」と、長距離界の高速化に舌を巻く。

ランニングの世界では〈ロジャー・バニスター効果〉という言葉がよく知られている。1954年、1マイル(約1.6km)レースにおいて人類が越えることのできない壁と考えられていた4分という記録をロジャー・バニスター選手が破ると、その後1年の間に23人もの選手が4分の壁を超えた。かように心理的な壁は高いということ。日本の長距離界も、心理的な壁が取り払われ、誰が新たな記録を打ち立ててもおかしくない、とてもエキサイティングな時代にある。

その可能性の塊のような選手の一群の中に、小椋選手は確実に位置している。2020年の〈香川丸亀国際ハーフマラソン〉で打ち立てたハーフマラソン日本記録1時間ジャスト(なんと覚えやすい記録だろう!)は、フルマラソンの記録を目指す途中経過として生まれた副産物だという。

「マラソントレーニングの一環として走ったのが丸亀だったんです。マラソン後半の疲労をイメージするために、前々日にロング走をこなしていたくらい。重い脚でどこまでやれるかと思っていたところ、結果がでました」

これだけの金字塔を打ち立てていながら、小椋選手はあくまでも冷静だ。

「相澤選手や大迫選手のような有力選手がハーフの記録だけを狙っていったら59分30秒まではいけると思います。もちろん自分も60分が限界だとは思っていなくて、誰か一人が59分台を出したらドドッと到達する選手が増えるんじゃないかと思ってます」

現状を冷静に分析できているのは小椋選手の持ち味であると同時に、目標を高く置いているから。

「正直、東京オリンピック選考のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、まだ力がなく出られなかったですし、ファイナルチャレンジは大迫選手に持っていかれてしまった。ただ自分がマラソンで戦える位置にいるというのは強く感じているので、パリ五輪は絶対に出場したいですね。その前の世界陸上の権利も取りたいです」

ランニングは表現する舞台であると同時に人と繋がる共通言語

そんな小椋選手は彩湖にあるヤクルトのトラックで毎朝、厳しい練習に臨んでいる。朝走ることの効能について彼はこう捉えている。

「できれば朝は寝ていたいんですけど、朝走ることには意味があって。朝はエネルギーや水分が枯渇しているんです。その状態で体を動かすことで、効率よく追い込むことができる。自分の体に必要なダメージを与えるのに効率がいいんです。気持ちとして楽に勝てるなら本当にそっちのほうがいいと思ってるんですよ。ただ、それができないからキツイことをやる。やらないと勝てないからキツイことをやっている。そういう気持ちで取り組んでます」

この言葉だけを取り出すとどこまでもストイックなのだと感じさせる。トップアスリートとして当然ではあるが、それだけではない。ランニングという行為をもっと大らかに捉えているところが、競技者を超えて小椋裕介を魅力的にしてる要因だ。

「走ることは仕事ですし、自分自身を表現する舞台です。それと同時に、走るということだけでいろんな人と繋がれるし共通言語になれる。ランニングってそんなところがいいなって思ってます」

小椋裕介 身長174cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (INK BLACK) Mサイズ ¥9,900
SUGARCANE SHORTS (DARK RED) Mサイズ ¥12,000 (4月発売色)
FLUFFY WOOL SOCKS ANKLE (WHITE)Mサイズ ¥1,800

✳︎価格は全て税込

走ることは生きること 歯磨きと変わらない
NOBUHIDE TAKASHIMA

中学校から大学まで、一貫して陸上部に所属してきた高嶋宣秀さん。いまもランニング大会やランニングメディアを運営する会社で働いていて、走ることはずっと生活の一部としてある。そんな高嶋さんが走ることから離れた時期があった。

ひとりで走っていたら気づけなかったこと

「中学の時は市の上位には入るけど、県で戦えるというレベルには至らなくて、高校に入って陸上を続けるつもりはなかったんです。でもカナダに夏季留学したときに、すっごく気候が良くて、仲間と話しながら走ったり、イベントみたいな感じで短距離で競争したりするのが楽しかった。そしたら、そんなに走れるなら陸上続けた方がいいよって勧められて」

仲間の後押しもあって、再び競技の道に戻った高嶋さんはスパルタコーチとの出会いもあり、中距離で頭角を顕していく。そして高校2年生の頃には全国大会の800mで6位入賞するまで能力を引き出された。それだけの努力をしてきたから、競技をやめてからは、楽しみのために走るということにギャップを感じた。

「みんなで和気あいあい楽しくただ走る、って陸上競技と全然違うので、最初は受け入れ難かったですね。でも陸上競技と市民ランニングは全然違うって思えてからは、純粋に楽しめるようになりました。それは市民ランナーの指導などを通して、他の人たちが楽しんでる姿を間近に見れたからだとは思うんですよね。ひとりでランニングをしてたら、そういうのに気づけなかったのかなと思います」

走ることは〈生きること〉

撮影の時には環境に配慮した〈allbirds〉のシューズを履いてきてくれた高嶋さん、最近はサステナブルなプロダクトへの関心も高まっている。

「マラソン大会の運営でも参加賞のTシャツを回収して、それを使って翌年の参加賞を作るなんて取り組みも行っています。ただ環境へのアクションはコストがかかってくる部分もあるので、そこを解消することの難しさは感じますね。ゴミを分別するとか、やれることから取り組んでいくのがいいのかな」

今はランニングが仕事にもなった一方、お子さんがうまれて生活スタイルががらりと変わった。それでも走る時間を確保している。

「家の近くの公園に子どもを連れて行って、奥さんと変わりばんこに走ったりと工夫してます。走ることは〈生きること〉くらいの考え。歯磨きと一緒で、やらないと気持ちが悪いんです」

高嶋宣秀 身長180cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (INK BLACK) Lサイズ ¥9,900
SUGARCANE SHORTS (BLACK) Lサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS SHORT (BLACK)Lサイズ ¥2,200
✳︎価格は全て税込

他人と比べずに自分を見つめる NATSUKI KISO

学生時代は吹奏楽部に所属し、運動とは無縁の生活を続けていた木曽さんは、社会人になってから体を動かすことの虜になり、今ではヨガインストラクター資格の取得を目指している。

トレーニングを継続できたのは、コミュニティーのおかげ

「学生時代は6年間吹奏楽部で、運動とは無縁の生活でした。社会人になりストレスで太ってしまったので、ダイエットのためにとりあえず走ってみたものの、一人で走るのは辛くて続かなくて。そこでグループトレーニングを行うジムに行ってみたら、どハマりしてしまいました。週5回、1日に2回行くことも。1時間のトレーニングを終えるとたくさん汗をかいて、めちゃくちゃ達成感があって。この感覚を毎日味わうことができたら最高だと思ったんです」

トレーニングを継続できたのは、コミュニティーの存在が大きかったという。仲間と一緒なら一度断念したランニングも楽しむことができた。

「ジムに通い詰めているうちに、友達もたくさんできました。いつの間にかダイエット目的だったことは忘れて、友達に会いに行くのが楽しみになって。グループで取り組むランニングも、話ができるペースで走るのは楽しくて、一人の時とは全く違って辛さを感じることはありませんでしたね。おかげでランニングも好きになり、スピード練習までするようになりました」

コロナ禍で、数々のマラソン大会が中止となり、多くのランナーが目標を失っている。木曽さんもその煽りを受け、走ることへのモチベーションを見失ってしまったという。

「コロナの影響を受けて、出場予定だったマラソン大会が中止になったり、会社のランニング部の活動もなくなりました。仲間と一緒に走ることもできなくなり、走ることへのモチベーションが落ちてしまいました。走ることにおいて、コミュニティーの大切さを改めて実感しました」

ヨガでは人と比べないことが大切

一方で、家の中でもできるヨガをする時間が増えた。ヨガとの出合いは、体を動かすことへの向き合い方を見直すきっかけとなった。現在では、ヨガの先生になる勉強をしている。

「ヨガでは人と比べないことが大切で、ヨガマットの上では自分だけの世界に集中します。振り返ってみると、マラソンをしている時は、どこかにあの人よりも速く走りたいという気持ちがあって、無意識に競争していました。SNSでも知らず知らずのうちに他人を気にしてしまったり。比べることや周りの目を気にすることに疲れてしまっていたんだなと気付きました」

仲間と共にスポーツをすることで、体を動かすことの楽しさを見出した木曽さん。ヨガでは、他人と比べずに自分を見つめることを知った。仲間と体を動かすことの楽しさを共有しつつも、自分自信を見失わない、ちょうど良いバランスを手に入れたようだ

木曽夏希 身長152cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (WOOL BEIGE) XSサイズ ¥9,900
SUGARCANE SHORTS WOMEN (OLIVE GREEN) XSサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS SHORT (BLACK)Sサイズ ¥2,200
✳︎価格は全て税込

体の中が空っぽになる感覚が気持ちいい CHIHIRO YOSHIKAWA

普段着の吉川千翔さんに会うと、バリバリのスポーツウーマンとは見えなくて、落ち着いた文化系なんだろうなと感じさせる。実際に学生時代は、軽音部や英語部に所属するなど音楽や文学、映画などに親しんできた。その彼女が、ランニングを始めるきっかけとなったのは大きな生活環境の変化によってだった。

走ることで得たポジティブな変化

「一昨年の11月に結婚して環境や生活習慣ガラッと変わったんです。それもあって体調の浮き沈みがすごく激しくて。30歳近くなって体型も結構変わってきて、体力づくりとダイエットもかねて始めました」

もともと散歩は好きな方だった。半日歩き続けるのも苦ではなかったし、自然に走ることを始められた。

「ど素人だったので、どのくらいのペースが体力づくりにいいとか、どのくらいじゃなきゃ効果が出ないとかが全く分からなかったんです。最初はランニングマシーンで結構速いペースで20分くらい走って、5分ぐらい歩いてを繰り返して。最近はかなりゆっくり走るようにして自分のペースをつかめました。GPSアプリを入れて、これくらいだと身体が軽く感じて楽に走れるみたいなのがわかってきたんです。自分に甘いんで、結構ゆるゆる走ってます(笑)」

1年と少し続けてみると、変化が見えてきた。体が軽くなり、日常生活にしてもちょっとした動作が楽になって疲れにくくなったそう。

「今は週に1度、週末だけ5kmを目安に走ってます。固定のルートはあるんですけど、そこからちょっとはみ出てみたり知らない道を走ってみたりして、面白さを見つけるようにしています」

吉川さんのランニングスタイルは、あくまで自然体。無理して追い込むことをしないから、長く続けていける。大事にしているのは「気持ちいい」という感覚だ。

「走り終わった後に、身体の中が空っぽになってる感覚がすごい気持ちいいです、はい。あと景色がいい日はすごい気持ちいいですね」

吉川千翔 身長156cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT LONG SLEVE(UNISEX) (INK BLACK) XSサイズ ¥11,000
SUGARCANE SHORTS WOMEN (BLACK) Sサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS ANKLE (BLACK)Sサイズ ¥1,800
FOCUS CAP (BLACK)フリーサイズ ¥6,600
✳︎価格は全て税込

MORNING RUN WITH #001 TASUKU ARAI

ランニングと出会い直した

荒井さんの朝は早い。6時頃には起き出して、自宅近くの井の頭公園周辺を走る。武蔵野の面影を残すこのエリアは、緑も多くモーニングランにはうってつけの場所だ。土ではあるがトラックもあり、1500mが主戦場だった荒井さんがスピード練習をする機会もあるそう。

「朝は体が動かないんでジョグが中心ですけど、トラックを走ることもあります。昼間は子どもたちの指導で意外と自分も体を動かしているんで、今はそんなに強度の高い練習はしていないんですよ(笑)。競技生活をしている時は、勝つこと、速く走ることが全てでした。現役を退いて、仲間と走ったりして、走ることの楽しさに気づけた気がします。もう一度ランニングと出会い直したような感じですね」

青山学院大学3年時には33年ぶりの出場を果たした箱根駅伝出場で1区を担い、主将を務めた4年時には41年ぶりにシード権獲得(8位)に貢献した。卒業後はJR東日本ランニングチームへ。現役を引退した後もJR東日本の社員として仕事を続けてきたが、実業団時代の同期である五ヶ谷宏司さんと子ども向けランニングスクール〈BEAT AC TOKYO〉を立ち上げ、最近は忙しい日々が続いている。

「JR東日本時代の最後の仕事は、意外かもしれませんがパソコン教室の事業だったんです。そこで子どもたちと触れ合うことにやりがいを感じているタイミングで五ヶ谷から声がかかって。神経系が著しく発達し始めるプレ・ゴールデンエイジ、ゴールデンエイジと呼ばれる世代の子どもたちに働きかけることで、陸上界にも貢献できればと考えています」

荒井輔 身長176cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT LONG SLEEVE (UNISEX) (WOOL BEIGE) Lサイズ ¥11,000
SUGARCANE SHORTS (OLIVE GREEN) Lサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS ANKLE (WHITE)Mサイズ ¥1,800

✳︎価格は全て税込

めまぐるしい時こそ、走る YUKINA TANIMOTO

とても朗らかでしなやかな話ぶりだけれど、時々芯の強さを感じさせる一面がふと顔を覗かせる。800m走という心身ともに厳しい競技で、中学時代には全国優勝を経験、大学時代にも全国3位という成績を残した谷本有紀菜さんだからこそ、見えている世界がある。一方で、現役を退いてからはランニングコミュニティの指導などを通して、“競わないランニング”の喜びも見出した。谷本さんのランニングとの向き合い方には、ランニングを楽しむヒントが溢れている。

自分の頭で考えて結果が出た

谷本さんが入学した小学校は生徒数が少なく、例年行事のマラソン大会も一学年全体、男女混合で行われていた。

「ひとりすごく速い男の子がいて、ナガタくんっていうんですけど、彼がずっとライバルで。6年間のうちになるべく多くナガタくんよりも勝つっていうのを目標に頑張っていました(笑)」

男子と競うほど脚が速いことに気づいた谷本さんは、中学校に上がると自然な成り行きで陸上部に入部する。

「中二の時に全国大会で優勝しちゃって、陸上競技を専門的に高校から始めることにして、山口県の西京高校っていう県内で一番強いところに入ったんです。けど、怪我したりであんまり3年間うまく競技ができなくて。全国大会には出たんですけど、優勝できなかったりで結構悔しい思いをしました。大学どうしようって思った時に、辞める道もあったんですけど、負けず嫌いなんでしょうね、このままじゃ終われないって」

名門の筑波大学に入学すると、ひとつ上の学年に“800mの女王”と呼ばれた真下まなみ選手がいた。レベルの高い先輩の存在と、学生が自分たちで考えてトレーニングを組み立てるというスタイルが噛み合って全国大会3位という結果を残すことができた。

「大学に入ってから自分たちでメニューを考えて組み立てるスタイルになった。だから余計に、いままでなかった知識も吸収してやることができました。高校までの自分のやり方とはまったく違うやり方だったので、それもあって伸びたのかなって思いますね。800mっていま思うとむっちゃキツいですよ(笑)。短距離の練習もするし、長距離の練習もしなきゃいけない。でも、それが面白かったのかもしれないですね。練習のプランニングをするのも楽しかった。自分は長距離が強いんだっけ、短距離は弱いんだっけ、短距離が弱いから練習もしてみようかなとか。分析するのは楽しかったですね」

ランニングコミュニティに触れて、走る喜びを見つけた

第一線で活躍した選手の場合は、現役を退いた後に“楽しみのためにスポーツをする”という切り替えをするのが難しい場合が多い。谷本さんも最初はそのリズムを掴むのに苦労した。

「やっぱりストイックなのかなぁ、なんか変に追い込むところあるんですよ。陸上引退してすぐは競技の時の感覚が残ってるからタイムは刻むし、距離も何キロ、何分以上走ってと密にやってたんですけど続かなくて。目標がないのにそれをやってもしんどいだけだなって。それが嫌で時間測るのをやめたんですね。時間も距離も測らない。ストップウォッチも持たないし、自分が走りたい時にばーって走って疲れたらやめる、みたいなやり方を続けて、ランニングをずっと好きでいられるようになりました」

もうひとつ谷本さんにとって、ランニングとの関わり方が大きく変わる出来事があった。

「ランニングコミュニティで市民ランナーの人と関わる機会が増えて、そこからはラニングが苦じゃなくなったかな。走る=競うみたいなイメージがあったんですけど、コミュニティでしゃべりながら走るとか、コミュニティを広げながら走るとか、こういう走り方あるんだって気づいて。誰かと走ったりする時はやっぱりリラックスしながら走れるし。走った後もすごい、なんだろう、頭の中が整理されるところがあります。そうですね、コミュニティの存在は大きかったですね」

マインドが揺れている時、時計を持たず走る

最後に改めてランニングの魅力について尋ねてみた。

「コロナのこととか、自分の環境が変わったりとかで、めまぐるしいときこそ走るようにしています。そうすると整理できる。これ、別に絶対やらなきゃいけないことじゃないよねとか、今日はこれをやりたいから、そのためにこれをやろうとか。そういう頭の整理が自分の中ではつく。だからマインドが揺れている時とか不安定な時ほど時間を作って、時計を持たず走るっていうのが、自分の中ではすごく大事なことになっているかな。よし走るぞっていって走るより、なんか疲れてるな、気持ち上がんないなって時に走るのが私は好きです」

谷本有紀菜 身長165cm
SMOOTH WOOL T‑SHIRT(UNISEX) (WOOL BEIGE) Sサイズ ¥11,000
SUGARCANE SHORTS WOMEN (OLIVE GREEN) Mサイズ ¥12,000
FLUFFY WOOL SOCKS ANKLE (WHITE)Sサイズ ¥1,800
FOCUS CAP (OLIVE GREEN)フリーサイズ ¥6,600
✳︎価格は全て税込

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混沌とした世界でも ランニングが「今」へと導いてくれる

コロナウイルスが世界に蔓延し、人々の生活が少しずつ、かつ劇的に変わりつつある。不安定な状態の中で、本当に大切なものを再度考える機会になった人もいるはずだ。家の中で過ごす時間が増えるにつれ、「身体を動かすこと」の喜びを再認識した人も多いかもしれない。混沌とした世界の中で身体を動かすこと、また走ることは、どんな意味を持つのだろう?今回ニューヨークはブルックリンで暮らす二人のランナー、ブライアンとローラにコロナ禍で変わったこと、そして走ることが彼らにとってどんな意味を持つのかについて話を聞いた。

ランニングを通じた、アナログな出会いと喜び

インテリア関係の仕事をしている二人は、2016年にニューヨーク・シティ・マラソンを観戦したことがきっかけで走るようになったという。

「そこにはある種の特別な空気、エネルギーが渦巻いていた。若い人からお年寄りまで、さらには車いすの人、目の見えない人、いろんな人たちが目の前を通り抜けていった。その溢れんばかりのパワーにものすごくインスピレーションを受けたの。それで ”よし、やってみよう”って。でも当時の私は全然走ったことがなくて、”ランナー”と自分を認識していなかった」とローラはその時の印象を語ってくれた。

ニューヨーク・シティ・マラソンは毎年約5万人が参加する大型マラソン大会。参加料を払えば誰でも出場できるレースとは異なり、抽選で参加者を選ぶ方法を採用している。参加資格を得るためにどうすべきかを考えていたところ、アフリカへ寄付活動を行っている非営利団体に出合った。そこで「寄付金3,000ドルを集めて出場権を得る」という方法を知り、寄付金を募って出場権を得た。ブライアンはこの団体との出合いがランニングの楽しさを知ることに繋がったという。

「はじめのうちはペースとかマラソンのフィニッシュタイムとか、何も知らないところからのスタートだった。だから僕らの目標は『とにかくゴールすること』だったんだよ。でもレースまで寄付団体の人たちと一緒にトレーニングをしたんだけれど、これがすごくいい練習になった。仲間と走るグループランもたくさんやったし、チームの一員になれたことや仲間ができたことが大きかった。普段はメールやスマホばかりでコミュニケーションをとっているだけに、ランニングの魅力はこの純粋でアナログな人とのつながりができることにある、と思ったんだ」

ランニングは自分だけの神聖な場所

以来二人はランニングが生活の一部となり、現在は週に4日ほど、45分から1時間ほどランニングをする。週末は距離を伸ばして走ることもあるという。

「走る時間は早朝と決めてる。静かで人もほとんどいないその時間が、自分だけの神聖な場所になるんだ。特にコロナ禍で全てがデジタルに取って代わって、パソコンの前にいる時間も長くなったし、ランニングはそこから逃れられる瞬間でもある。ニューヨークは「今ここ」よりも、「次に来るものは?」っていう発想があって、でもそこでランニングが「今の瞬間」に自分を取り戻してくれる。走ることは「今」に集中して、生きることを体感できる瞬間。外に出て身体を動かすこと、自然と触れ合うことに今まで以上に喜びを感じるし、それはある種の瞑想のようなもの。そういう意味で走ることは、生活の中にある儀式のようなものかもね。それって僕がかつて競技していたロードバイクとかでも体感できるかもしれないけど、ランニングは足が地球の上を弾み、リズムが生まれる。そこにはオーガニックな感覚があり、生命が宿り、感覚が研ぎ澄まされていく感じがあるんだ」とブライアン。

一方のローラは「ランニングは目的が一つじゃないところに魅力がある。ある季節においてランニングは、自分に挑戦するものになる。変化のない日々の中で、もっと遠くへ、もっと速くっていうように自分を動かしていく精神的な原動力をくれる。またある時には心と身体を整えるのに役立ったりもする。一人で気ままに走っている時間は、ありのままの自分でいられて、誰からも邪魔されず、誰にもメールを返さなくていい(笑)。それは私だけの特別な世界。ランニングにはそういう純粋な喜びがあるように思う。人によっては他のランナーと繋がるために走る人もいるし、ある人は人の群れから遠ざかるために走る人がいるみたいな、ランニングの目的は自分が望むものになり得るってところに惹かれている」とふたりともランニングの精神的な側面に魅力を感じているようだ。

寒暖の差が激しいニューヨークに適したものを選ぶ

二人は走る際のウエア選びにもこだわりがある。ニューヨークの夏は暑く、冬は零度を下回ったりと極端な温度差があるので、様々な気候や温度に対応できるものを選ぶようにしているという。

「どんなにデザインがかっこ良くても、機能が伴わなければ意味がない。そういう点では〈HERENESS〉のメリノウールのTシャツはニューヨークの極端な気候に適してる。肌触りもいいし、すごく気に入ってるよ。今まで数多くのブランドのスポーツウエアを試してきたけど、「これだ!」っていうのに出合会うのって意外と難しい。〈HERENESS〉のランニングキャップも通気性抜群で、蒸れないから重宝しているよ」と話してくれたブライアンは、オンラインインタビューの時もお気に入りのFOCUS CAPを被ってくれていた。

ローラは製品のサステナビリティも気にしている。「私のお気に入りは〈HERENESS〉のウールでできたロングスリーブ。生地がすごく薄いから、初めて手に取ったとき保温力が不安だったけど、実際外で試してみたら完璧だった!私もランニングウエアを選ぶ時、はじめはデザインで手にとるけど、やっぱり機能とサステイナビリティのどちらの要素もバランスよく備わっていることが大事かな。だから〈HERENESS〉のショートパンツは機能的に優れてて、自分の用途に合ってるなぁって。私は特にポケットのサイズにすごくこだわりがあるんだけど、〈HERENESS〉のショーツはスマホがちゃんと収納できて、ポッドキャストも聴きながら走ることができるから気に入ってる」

対話を増やしていくことが持続可能な未来につながる

〈HERENESS〉のウエアは、ウールのような天然素材を使用したり、化学繊維を使用する際はサトウキビのような植物由来のものや、リサイクル・ポリエステルを積極的に利用。また、包装パッケージにはリサイクルしやすい紙のみを使用するなど、環境への負荷を軽減させる取り組みに力を入れている。さらに動物福祉の観点から、ミュールジング(羊の陰部付近の皮膚を、湿気や虫がわくことを防ぐために切り落とすこと)を行っていない羊のウールを使用するなど、持続可能な形を模索しながら製品の開発を進めている。

「ショーツにサトウキビの由来の素材が使われてるなんて想像したこともなかった。ここ数年テクノロジーが発達して、ランニングウォッチでもスポーツウエアでも化学繊維が多く使われていたり、なんかこう自然界のものとはかけ離れてきちゃったっていうか。だからサトウキビもそうだし、地球の大地から育まれた天然のものを身に纏うって、すごく新鮮でいいなぁと思う。(ローラ)」

「対話を増やしていくことが大事で、それがサステイナブルな未来につながると思う。環境への負荷やサステイナブルについて話すのは、もう絶対条件で、年々大事になってきている。例えば、新しいジャケットを買おうとするとき、新しいのいるかな?ってローラと話したんだ。古着でいいんじゃない?って。新しい洋服は同じものがまた生産されていく、って想像したんだ。そのように物を買うときに意識的に考えるようになってきたよ。だから環境問題について誰かと会話したり、考えたりすることは、深い意味があると思う。僕らは地球の上を走っている。走ることって人間の本能のようなものでもあるし、サステイナビリティは僕らが走る大地、地球に直結することだから(ブライアン)」

混沌の中で走り続ける

ブライアンは昨年のフィラデルフィアマラソンで悪天候にもかかわらず、3時間3分の自己ベストを記録。またローラも昨年、ニューヨーク州のMonhok保護区で開催された、トレイルランニングレースにて、初となる50マイルを9時間で完走した。しかしコロナウイルスの蔓延で、その後のランニングレースは軒並み中止、または延期になった。それでも二人は希望を絶やさず、目標を持って練習に励んでいるという。

「コロナは精神的にもちろん辛い時もある。パンデミックが始まった初めの頃は情報が乏しくて、どうやって他の人に感染するかわからなかったから、数ヶ月走らない時期もあった。でも今はだいぶ状況が変わってきたし、ランナーも今まで以上に増えてるよ。レースは中止になったりしてるけど、今でも来年のレースにエントリーしてるんだ。いつか自分の故郷でフルマラソンを完走したいなぁと考えていて、地元で開催されるレース、Milwaukee マラソンにもエントリーしたよ。もちろん開催できるかはわからない。でもそれはあまり重要じゃないんだ。楽しみなことを自分で作って、それに向かって前に進んでいくことが大事だと思ってる。だからこれからも走り続けるよ(ブライアン)」

ウール 自然からの贈り物

ウールの歴史はとても古く、初めて毛織物が作られたのは紀元前2,200年頃といわれています。また牧羊の始まりまで遡ると紀元前6,000年頃とも。

私たちのシグネチャーマテリアルであるメリノウールの原種は1300年代に誕生し、中央アジアからギリシャを経てスペインに持ち込まれたとされています。羊には20にも及ぶ品種がありますが、メリノ種の羊はその毛の柔らかさから貴重なものとされていました。しかし、ただ柔らかい素材というだけで今日に至るまで長く愛されるものでしょうか?ここではその優れた特徴をお話したいと思います。

クリンプが産む断熱効果(冬暖かく、夏は涼しい素材)

メリノウールを語る上で吸湿性、保温性の高さははずせません。メリノ羊から作られたメリノウールのウェアは熱伝導率が低く、衣類内の温度や湿度を安定させ、快適な着心地をキープします。クリンプ(細かい縮れ)が空気を含み、外気と肌との間で断熱効果を発揮するため、冬は暖かく、夏は涼しい。ウールというと「冬の素材」という先入観があるかもしれませんが、繊維が細く、薄く、軽量なメリノウールは蒸れを防ぎ、通気性を保ってくれるという側面もあるのです。

メリノウールの繊維表面は人間の毛髪でいうところのキューティクルのように、「スケール」と呼ばれる鱗に覆われています。このスケールの隙間から素早く汗や湿気を吸着、吸った水分を水蒸気として放出すると同時に、体から気化熱を奪い取り、高まった体温を適温に下げる役割を果たします。繊維自体が微かに波打っていることから、糸そのものの中にたくさんの空気を含む能力があり、身体から放出される熱を繊維内に取り込んで保温するというわけです。例えばランニングをして大量に汗をかいた後も、急激な体温低下を防ぎ、ドライな着心地を保ってくれる、というように。

においにくい、それはサステイナビリティに繋がります

身に着けるうえで非常に大切な要素、においにくいのもメリノウールの特徴です。水分をよく吸ってくれる素材でありながら、なぜかにおいを発しない。繊維内ににおいを閉じ込めるのか、科学的な解明はまだされていませんが、消臭効果が施されたナイロン、ポリエステルなどの繊維と比べてもメリノウールの消臭、脱臭能力は圧倒的に優れています。

例えば普段着として数日間着続けてみると、においが気にならないことに驚くことでしょう。洗濯回数を抑えることができるので、旅先でのワードローブとして役に立ちますし、サステイナビリティにもつながります。

スポーツウェアとしてみた場合、においはストレスになる要素です。メリノウールは私たちのコンセプトの「着心地」の面からも、問題をクリアにしてくれる素材です。

自然の魅力を伝え、豊かな感情を抱かせてくれる素材

良いところばかり話しましたが、メリノウールにも注意するべき点はあります。動物性繊維のため虫に食われやすく、収納する際は防虫剤を使うことが推奨されます。また、縮みやすい性質があるため、洗濯にもある程度の注意が必要です。水をよく吸うため運動中に重さを感じることもあります。それでも私たちはウールをファーストチョイスにしています。その柔らかな肌触りから、自然の魅力を伝え、豊かな感情を抱かせてくれる、体と心のバランスを良い状態に保ってくれる素材としてこれ以上のものはないからです。